下ろした髪 腰を掛けたベッドに、足だけ床に残して体を預ける。まだダルさと、腹の奥の異物感が残る体をマットレスは優しく支えてくれた。自分のものではない香りに思わず顔を埋める。
しばらく突っ伏していたが、風呂上がり特有のポカポカした体温と適度な疲労感が眠気を誘う。重くなった瞼が落ち切らないように、横たわったまま首だけ動かした。窓から差し込む月明かりにのみ照らされた天井をぼうと見上げる。そのまま風呂場から聞こえるシャワーの音を聞きながら、音の主の戻りを待っていた。
いつの間にかドライヤーに入れ替わっていた生活音が止まる。
足音が近づくドアを眺めて待っていれば、風呂上がりの仙道が部屋に戻ってきた。部屋に入ると同時に目が合って、少し驚いた様子もあったがすぐに微笑まれた。
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