1週間後に初セックスするレイマシュ「え、嫌ですけど」
頭の中で最近やっとの思いで口説き落とした恋人の声が木霊する。性急だったか、時期が悪かったか…まさか、世間知らずということはわかっていたが、付き合うの意味さえ知らず口説かれるのが嫌になったから適当に答えたのでは、そんな不安な考えが反響し目が眩む。どんな戦闘でも相手を見失うことなどないこの身がこいつの前ではこんなに無力か、と頭の隅の冷静な自分が笑っている。続く言葉を吐くために震えそうになる唇で息を吸えば情けなく喉が震えた。
「…何故だ?俺とセックスするのは嫌か。」
言葉を吐いてもすぐに返事はこない。すげなく断られ、拗ねた気持ちが湧いてきたせいで生半可な答えを許すつもりはなかった。
「え?うーん…嫌というわけでは無いです。はい。でも今日は無理です。」
背後でラッパでも鳴っていそうな気の抜けた顔でそういうとくるりと背を向け歩いていく。その姿にザアッと血が昇る。獲物が逃げるぞ、追え、と叫ぶ本能のままに抱きつき足を止めさせる。
「…?どうしたんですか、レインくん。僕はこれから筋トレをしに行きます。レインくんもやりますか?」
…これは本心で言ってるな。下心もやましい事も考えていない。善意で言っている。ぐるぐると思考を回し、思いついた対抗策を声に出す。
「…1週間後ならどうだ」
「え、1週間後ですか?…まぁ、はい、それなら。」
こうしてレインのがんばりにより、1週間後のセックスが確定したのである。