夏の色、あなたの空。雲一つない青空が広がっている。こんなに澄んだ青を見たのは何時ぶりだろうか。堤防の上から見る海と空の境界線。ずっと向こうの水平線を眺めながら、好きな人の作った曲を口遊む。イヤホンから流れるのは、好きな人の声。優しい海風に吹かれてふわりと赤い髪を揺らしながら、その声に酔いしれた。
今は夏休み。初日に宿題を全て終わらせ、詰め込んだ仕事もライブも一段落した。レッスンやミーティングはあるが、毎日というわけではなく仕事が入る度、不定期に行われている。今日はレッスンも部活動もお休みで、朝からなんの予定もなく急な連絡も来ていない。完全なオフだ。
「どうしましょう…。」
朝ご飯を食べたあと、自主練をして課題とは別に勉強もした。家の事も今は落ち着いていて、特に急ぐ用事もない。同年代の学友とも遊ぶことがない司にとって暇を持て余すことはかなり悩ましい問題だった。
2179