戦のあと あいつが喜びそうなものっつうのは、これ以上なくわかりやすい。甘いモンと気取ったような骨董品。質のいい貴金属やら着物にも喜ぶが、なんといっても間違いねえのがこの大ガマ様だ。
オレが持ってきゃ間違いねえんだ。こんな簡単な話もねえ。
「いやそういった話ではなくてですね……」
「いいやそういう話だぜ。あんな単純な野郎のためにお前らがあれこれ気を使う必要もねぇよ」
「そりゃお館様が勝手に一人で個人的にご交流されるというのならそうでしょうけど、あっちとこっちで軍を構えてる手前というもの」
「なァヒライ神、お前その固い頭でよくも今までオレに仕えてくれたよな」
「え」
帳簿やら何やらと睨み合ってウンウン唸っていたヒライ神が、スッと顔を上げて怪訝な顔でオレを見た。
「褒めてんだぜ。同じ固い頭でもすぐに喧嘩になっちまう相手もいるんだからさ」
「はぁ。……首になるのかと思いました」
「まさか。貴重な人材だぜ。オレの代わりになんだかんだと考えてくれてありがとよ」
「そうおっしゃるなら少しはご協力いただきたいですね」
「それも一理あるがあいつの件だけは話が別だ。あいつの相手はオレに任せといてくれ」
「そうしてまた戦争を?」
「あれはあれでお前らも気晴らしになっただろう」
だからたまにゃああいうのも悪くはないとオレもあいつも思っているわけだ。が、ヒライ神は再びオレの顔を怪訝そうに見つめている。