玄弥くんの日常とある休日の昼下がり。
それは唐突に起こった。
玄弥はいつも通りの休日を家族で過ごしているだけだったのだ。
それが、トイレに行ってリビングへと戻って来ただけだというのに、玄弥は唐突に前世の記憶を思い出した。
それはもう、雷でも撃たれたかのような衝撃だった。
トイレからリビングの大きなソファーへと座ろうと戻って来た玄弥は、思い出したと同時にその場に固まった。そして、恐る恐るといったように背後にあるキッチンへと振り返る。
そこには、前世では兄だった実弥がいた。
「………さねみ………」
「まァだ寝てろって言ったろォ…無理すんなァ…」
キッチンでおやつのホットケーキを焼いている実弥の背中にぺとりと眠そうに今起きたという義勇がひっつき、ぐりぐりと彼の肩口で頭を擦り付けている。
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