「奏って綺麗な指してるよね」
運ばれてきたばかりのフライドポテトを頬張りながら、瑞希が唐突にそんなことを言い出した。対面に座る奏が「指……?」と呟きながら、自身の両手をまじまじと見つめる。
「急に何言ってんの?」
「だって、本当に綺麗なんだもん。白くてスラッとしててさ。絵名もそう思わない?」
「考えたことすらないわよ、そんなの」
絵名は心の中で「嘘だけど」と付け加えた。
自身の絵に存在価値を与えてくれた奏に対して、絵名は互いの顔も知らない頃から憧れ、尊敬、親愛等、ありとあらゆる好意的な感情を抱いていた。そんな相手と、オフ会という形で直に顔を合わせることができるようになったのだ。奏に向けて多少なりとも熱のこもった視線を送ってしまうのは、至極当然のことである。多分。恐らく。きっと。
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