ボクの一番星 ずっと欲しいと思っていたけど、きっと無理だと諦めていた。
そんな一番星を手に入れたときの気持ちをどう表現したらいいんだろう。
昼間はずいぶん春らしく暖かい風だったが、夜になると少し肌寒さを感じる。そんな風に吹かれて満開の桜の花びらが揺れているのを見上げていた。月明かりに照らされて揺れる桜の花びらをいつもは一人でぼんやり眺めていたのだが、今年は一人ではなかった。
「すごいな……」
満開の桜を見上げたまま嵐山が迅の隣でつぶやく。
そんな嵐山の姿を迅は目を細めて見ていた。桜も、その桜を見上げて純粋に感動している嵐山の表情も独り占めしているようで気分がいい。
今日は迅の誕生日だった。四月九日、十九回目の誕生日だ。
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