君を初めて見たあの瞬間、俺の世界が明るく見えるようになったんだ。「俺と一緒に来ないか?」って君に尋ねると、小さな温かい手が俺の手を優しくぎゅっと握ってくれて嬉しかった。同時に弱くて小さな君を守らなければとも思った。小さくてまだ生まれたばかりの弱い国。放っておけば、直ぐに呑み込まれてしまいそうな国。俺が守らなければ誰が守るというのだ。決して彼奴には渡さない。
なんてかっこつけたことを考えていたよ。今の君にそんなことを言えば「僕にそんな価値なんてありませんよ」と言ってきっと笑い飛ばすんだろうね。
でもね、俺にとって本当に君は大切だったんだ。君の成長をずっと見守りたかった。……傍に居たかった。
君と過ごした日々が昨日の事のように思い出せるよ。君の一つ一つの行動に一喜一憂して、子育てってこんなにも大変なのか……って思ったこともある。でも、君はそんな俺に気を使って我儘を一度も言ってくれなかったね。……最後まで言ってくれなかった。今言うのは狡いかもしれない。それでも、言いたいんだ。俺はずっと君が我儘を言ってくれるのを待っていた。
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