「全て笑顔で隠しなさい。悲しみも恨みも全て嫋やかに隠すのです。誰にも分からないように。それが貴方の生きる術でございます。誰も信頼してはいけませんよ。貴方は永久に一人なのです。国の化身なのですから」
この言葉は誰に言われたものだったろうか。
鳥の囀りが聞こえて菊は夢から覚めた。今は何時なのだろう。起き上がろうとしたら、腰に鈍痛が走った。
「どうしたんだ?まだ起きるには早い時間だぞ?」
「アーサーさん、起こしてしまいましたか?」
「いや、お前が起きる前から起きてた。いつもお前の方が先に起きるから珍しいと思って、お前の寝顔を堪能していたんだ」
可愛かったぞとアーサーは額に口付けを一つ落とした。