ここにある宇宙 雲ひとつない青空が見える。
一色の絵の具でキャンバスを塗りつぶしたような晴天。ベッドに横たわったまま、その空をぼんやりと見つめていた。
「悟」
呼ぶ声に隣を見ると、伸びてきた手に頭を撫でられた。少し硬い指先が、慈しむように髪を梳いていく。
「何考えてたの」
静かに問う傑の瞳はどこか憂いを帯びていた。
大方、僕が外に出たいと思ったんじゃないかとか、そんなことでも考えて鬱々としてきたのだろう。特に何を考えていた訳でもなかったのだが、事実をそのまま伝えても恐らく傑の気持ちは晴れない。受け答えとして不自然にならず、かつ気が逸らせるような話題を探す。空の色だとか、空の高さだとか——
「宇宙のこととか」
思いつきにしては中々良い話題ではないだろうか。遥か昔に授業で学んだ以上の知識は無いが、雑談にはうってつけだ。
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