猫の日ちりん、と安っぽい合皮についたチャチな鈴が小さく鳴った。
所詮通販サイトで買った首輪の紛い物だ。猫耳コスプレグッズの中にあった猫耳がクリップで王子の髪に留められていた。
なのに言い様のないぞくぞくとした高揚がこみ上げる。まったく、困った性質だ。王子はそう思いながらも口角が上がるのを止められない。Subの本能が緩やかに温度を上げ、王子の体内の血を激らせ始めていた。
「嬉しい?答えて《Say》」
「正直なところ、こんなに嬉しいものだと思わなかったよ」
「だろうな、俺もそうだ」
「《鳴いて》」
「にゃあん、にゃ……ねえクラウチ、こんなものが趣味だったのかい?」
「しっ《Shush》。猫は人の言葉を喋らない…だろう?」
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