永遠に君は「ルイ王子? そんな王子いたか?」
その言葉にルイの表情は抜け落ちた。
「いたかもしれないが俺は知らねぇな」
忙しいからもう行くよ。そう言い残して男は去っていった。
ルイは咄嗟に男を引き留めようと手を伸ばしたが、その手は空を切った。
「帰るぞ」
イーサンの静かな声は自然と衝撃を落ち着かせる。
ルイが死に、死神になってから国に帰るのは初めだったが、まさか国民が自分を覚えていないとは考えもしなかった。
「私は覚えてる」
ぽつりとルイは呟いた。
「私は国民を愛していた。その思いは王になっても変わらないとバラに賭けて――」
「もういい」
「私は」
ルイの瞳から一粒雫が落ちた。
私は。
私は、何だったんだろう?
「誰も覚えてなかったとしても俺は知ってる。ルイがこの国のために命を懸けたこと、この国と民を愛してることを、俺は知ってる。
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