「フカッ! フカフカ!!」
「ダメですよフカマル先輩! 今朝ダイエットしましょうと言ったばかりではないですか! まるまるとした先輩も大変魅力的ではありますが……あまり食べ過ぎてしまうと体が、ああっ! こら!」
意識を戻すと目の前に騒がしい光景が広がっていた。先程まで日なたで気持ちよさそうに眠っていたフカマルは、寝起きを感じさせない元気さで駄々をこねている。ハッサクさんに持ち上げられ、その小さな体を浮かしながら短い手をグルグルと回す様子はシュールであり、親子のような微笑ましさもある。ただハッサクさんがフカマルに掛けた言葉のうち、少し引っかかったフレーズがあった。
「フカマル……“先輩”?」
「へ? ……ああ、初対面でしたね。こちらはフカマル先輩です。画材を運んだり、授業のお手伝いをしてもらったりと、いつも助けてもらっているのですよ……あ、ちょっと!」
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