ジェオ誕とは全く関係ない片思いイーくんのお話飲めない酒を猫のようにチロと舐めただけですっかり出来上がった友人を前に、イーグル・ビジョンは辟易としていた。
手元のグラスはぬるい。
オートザム産の―だいぶグレードの低い―酒を口に含む。上等なボトルをヤケ酒のために開けてやるには惜しい。
ジェオがため息をつく度に苛立ちは募るが、お開きにしましょうとは言いださずイーグルはただ彼の愚痴を聞いていた。
「今度こそうまくいくと思ったんだけどなあ」
ジェオがこぼす。
逞しい腕をクッションにし、机につっぷしたままジェオは重く顔を上げた。イーグルの顔を覗き「何がいけないのかねえ」と次いで零した。
ジェオのため息がテーブルの上に鈍く白い円をつくる。
「教えてくれよモテ男様」ジェオがそう続けると、イーグルは自分の苛立ちがじわりと濃くなるのを感じた。
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