正直に申し上げますトウマはたまたま一緒になった歌番組の収録の後、ŹOOĻの楽屋を尋ねてきた楽と、番組で披露したパフォーマンスについて話をしていた。
いつかの誕生日に八乙女からラップについて尋ねられたこともあるが、TRIGGERというアイドルグループの、特に歌を披露する場においての圧倒的な実力は凄まじく、何度見ても目を見張るものがある。負けるつもりはもちろんないが、トウマはTRIGGERの実力は別格だと思っている。
そして楽はそのTRIGGERのリーダーも務めている。話をしていて勉強になることばかりだ。リーダーとしても、アイドルとしても、1人の男としても。
トウマは楽と話をする時間がとても好きだった。
「で、結局のところ、どうなんだ?」
2人の間で話は大いに盛り上がり、そしてひと段落ついた後、楽は先ほどまで浮かべていた柔和な笑みから少し緊張した様な面持ちに変わった。美形の真顔って迫力あんなー。呑気にそんなことを考えながらトウマは聞き返す。
「え…何が…?」
「俺のこと、どう思ってんだよ」
間髪入れず楽は言った。
まどろっこしい物言いは苦手だ。歯に物着せぬ言い回しで、楽ははっきりと思っていたことを聞き出そうとトウマを見つめた。
「うぐっ」
楽の熱を持った真っ直ぐな視線を受け取りきれず、トウマは目を逸らす。
楽が何を言いたいのか分かっていた。いずれこの男ならば、自分がまだ伝えられていない感情をはっきりさせに来ると。
「俺は肝心なこと、何も聞いてねぇ」
「…はい」
楽は、トウマの両肩に手を置き、逃げられない様真正面からトウマを見据えた。
「俺は狗丸のこと好きだぜって、会う度言ってるよな」
「う、うん」
信じられないことになんとあの、TRIGGERの八乙女楽は、トウマに好意を抱いている、と言う。
「好きだぜ、狗丸」
知れば知るほど完璧すぎるこの男に最初に好きだと言われた時は、過去に一方的に妬み、恨み、傷つけてしまった自分が嫌われている訳ではなく、好かれている。その感情がただただ嬉しくて、そ、っスか。ありがとうございます!と笑って返した。まさか恋愛的な意味だとは心底思っていなかったのだ。が、会う度に好きだと甘く囁かれるとなるとトウマの中でも疑問が生まれる。この八乙女楽という男、知れば知るほどその様な冗談を言う様なタイプではなく、眩しすぎる程に真っ直ぐな男なのだ。
与えられる『好き』は、トウマの心に静かに降り積もっていった。
「この間デートした時、手ぇ握ったら握り返してくれたよな。」
「ああ?あ、うん」
デート?!デートだったのかあれ?!
楽からごくごく普通の態度で、今度二人で出掛けないかと誘われた。八乙女と過ごす時間は好きだから、と特に何も考えず「行く!」と二つ返事で承諾した。
自分を好いている、という男と二人きりで映画を見て、買い物をし、食事をした。
行こうぜ、とスマートに、当たり前のように自然に差し出された手を取り、優しく握り返し、手を繋いで歩いた。
もしかして、デートだったのかもしれない。
「で、解散する時に狗丸んちの前で、キスしていいか?って聞いたら、嫌だって言わなかったし、お前、頷いたよな?」
「キ、…わーーーーーー!!!」
楽しかった1日の締めくくり、帰り際にキス、と言われたトウマはきす…?と頭の中で反芻する。キスってアレだよな?あの唇くっつけるやつ。恋人同士がするやつ。キス?俺と八乙女が…?
嫌だとは思わなかった。ので、こくりと頷いた後、トウマの頭は自分が承諾したことの重大さをじわじわと理解していく。え、キス?!
自分と八乙女が唇を重ねる。そんなイメージを浮かべはっきりとそれを自覚した瞬間、トウマの顔が茹で上がったタコの様に一気に赤く染め上がった。汗が一筋伝い落ちる。鼓動が急激に高鳴り始める。
トウマの頷きを承諾と捉え、楽の整った顔は、トウマの唇に触れるべくゆっくりと近づいていく。
かっけー。まつ毛長っ。色素薄っ。毛穴ない。彫刻の様な作り物めいた白さの整った顔に、少しの赤みが差している。
トウマが八乙女の頬に、熱を持たせている。あの完璧だと思っていた八乙女楽は、感情を持った、1人の男なのだと実感した。
近い近い近い。無理。しぬかも。
耐えられなくなり、トウマはぎゅっと力一杯瞼を閉じた。
ちゅ
右頬に温かみと柔らかな感触を感じ、トウマがゆっくりと目を開けると、「今日楽しかった。またな。」と手を上げ去っていく楽の背中が見えた。
知らず緊張でガチガチに固まっていた身体から力が急に抜けていく。トウマは楽の後ろ姿を見ながら玄関にずるりと座り込んだ。心臓のバクバク止まらなくて破裂しそう。
未だに優しい感触の残る頬を、右手でそっと触れてみる。
トウマはそのまま暫く動く事ができなかった。
あれからずっと、頬の熱さとと共に灯った胸の温もりが消えてくれない。
「で、」
楽の言葉にトウマは我に返った。
「さっき御堂と話してたよな、八乙女のこと、どう思ってるんだ?って」
「え」
どうして楽がそれを知っているのか。というか、その問いの自分の答えは、
「『すげーかっこいいし優しい。尊敬してるし、すき、なんだと思う』ってお前」
「わーわーわーわーあーーーーーーーき、聞いて」
楽はスマートでかっこいいと思うし、自分に優しい。芸歴ではほんの少し自分が上かもしれないが、アイドルとして、男として尊敬すべき点は沢山ある。そして、あの時胸に灯ったままの暖かさを、愛おしく思う。これが、好きだということだと、そう思った。
のだが、虎於にだからこそ正直に言えた言葉を、楽の口から聞いてしまうなんて何の罰ゲームだ。
「御堂も俺に気づいてたぞ」
「トラーーーー!!!!!」
楽はトウマに対する気持ちをŹOOĻに対して隠してはいない。他のメンバーがいる場所でもトウマに対し好きだと言ってきていたし、それに対して百面相しているトウマがどう思っていたのかなど、虎於はトウマ以上に理解していたのだろう。
トウマを想っての事だ。分かっている。分かっているけど、恥ずかしくて泣きそう。
「で?」
「え?」
で、とは?まさか、
「俺のこと、どう思ってるんだ?」
もう知ってるくせに、自分にその先を言わせようとするのか。
「い、今ここで、言わなきゃダメか?」
「俺は狗丸の口から聞きたいよ。それに、両想いでないとキスできねえしな!」
にかっと大口を開けて綺麗に笑う楽を見て、トウマの心はこの男が好きなのだと悲鳴をあげる。
ここまでお膳立てされているのだ。ずっとずっと、自分に愛を伝えてくれていた真っ直ぐなこの男に、ここで伝えなきゃ男が廃る。
トウマは大きく息を吸った。
「や、八乙女のこと、す、すき、好きだ。っわあ」
気がつけば抱きしめられていた。
「俺も!俺も狗丸が好きだ!俺たち両想いだな!すっげー嬉しい。」
抱きしめられ、密着した身体から楽の胸の鼓動が伝わってくる。
八乙女も、俺と同じくらいバクバクしてる。それがたまらなく愛おしかった。
「っ俺も!!!」
楽の背中に恐る恐る手を回し、この気持ちが伝わる様に強く力を込めた。
「なあ狗丸。キスしていいか?」
ちゅ。八乙女の薄く滑らかな唇に、少し上を向いて自分のそれを重ねる。
「!!!!」
「もう、聞かなくていいよ。…両想いだし」
TRIGGERには珍しい、朝からロケの仕事だった。
いつも時間に余裕を持って行動する3人だ。メイクも終わり、後は呼ばれるのを待つだけ。
「ふわぁ〜」
気が緩んだのか、つい楽の小さな口から大きな欠伸が漏れた。
楽は朝は苦手ではない、が、昨日は作曲の勉強をしていてついつい眠るのが遅くなってしまった。
「楽。…もう、昨日は早く寝てって言ったのに。眠気覚ましに飲み物でも買ってきたら?」
「ん、そうする。」
見かねて声をかけた天にそう答えると楽は立ち上がり、出口に向かおうとする。その時、コンコン。楽屋に軽快なノック音が響いた。ノックの主は、
「おはようございます!ŹOOĻです!」
ドアの外からリーダー、狗丸トウマの元気のいい声が聞こえてきた。
なんと今日は、ŹOOĻも同じ現場だった。
曲の雰囲気から、昼より夜を感じさせられる2グループなのであまりそういった機会はないのだが、今回はそういったミスマッチを狙った仕事らしい。
「どうぞ」
天の許可の言葉を受け、楽屋のドアは開かれる。
「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」
「狗丸!」
元気な挨拶と共にトウマが中に入ると、八乙女楽が嬉しそうに駆け寄っていく。
「八乙女、さん。お疲れっす!」
「おはよう。朝から狗丸の顔が見れて嬉しいぜ!今日も一緒に頑張ろうな!」
「はい!」
透き通る様な白い肌とは裏腹に、朝からの現場にも関わらず溌剌として元気な楽は、見ている人にも活力を与えるとトウマは思う。グラビアやPVを見ているとまるで月明かりの綺麗な夜や、深雪のような美しさを感じるビジュアルをしているが、本人を見ていると夜のしっとりとしたイメージより朝の賑やかな情報番組などといった健全さか感じられる。
あといつもながらただただ顔面が良すぎて眩しい。トウマは少し目を細めた。
「てかあの、なんか近くねぇスか?」
楽の腕はさりげなくトウマの肩に回され、トウマが楽の方を見ると今にも鼻先が触れそうだった。
恥ずかしいのに、あまりの顔面の眩しさから目を逸らしてしまいたいのに、楽の切れ長の薄墨色の瞳から目が離せない。いつだってそうだ。八乙女楽という男はトウマを惹きつけてやまない。
楽の鋭さのある瞳が、愛おしいものを見る様に、優しく細められた。
「こんなもんだろ。俺たち付き合ってんだし」
「つ、付き合っ…!!!!」
「この間晴れて両想いになっただろ?お前からキスもしてくれたし!」
そう、付き合っているのだ。八乙女楽と。狗丸トウマは。
先日トウマは自分の気持ちと向き合い受け入れたことで、楽とトウマは互いを愛おしく思う気持ちを伝え合ったのだった。
その時に、トウマの方からキスをした。自分も八乙女が好きだと伝えたかったから。
思い返すと顔から火が出そうになる。
「わーーーーーわーーーー!!!ちょ、八乙女、ここ、み、みんないるから、」
「そうか?俺あの日嬉しくて帰って天と龍にすぐ自慢しちまったけど」
「な、な、」
先頭に立ち、楽と戯れあっているトウマの後ろからŹOOĻの面々が姿を現した。
「ちょっとトウマ、先行くって飛び出して行ったのはいいけど相手の楽屋で早々イチャつくのやめてくれる?オレたちもいるんだけど?」
「あらあら、今日も仲が宜しいですねえ」
「ほんとにな。トウマもいい加減慣れればいいのにな」
朗らかに笑う楽と、百面相をしているトウマに対し、思い思いに3人ははあ、とため息をついた。
「そもそも八乙女さん俺らの前でもずっとトウマに好きだぜ!って言ってたじゃん。一昨日辺りから明らかにトウマの様子おかしかったから何かあったんだろうなってみんな察してたし。今更何言ってんだろうね。」
「トウマが初めて抱かれた女みたいな顔でぽーってしてるから、俺はてっきり一気に身体の関係にでもなっちまったのかと…まさか両想いになってキスしただけだったとは…」
そういう雰囲気を感じ取るのは得意な方だと思っていたんだが、俺もまだまだだな。やれやれと虎於は首を振る。
「初めて抱か、なに?」
「御堂さん、まだ朝です。黙って下さい」
不思議そうに虎於に聞き返す悠の視線と、巳波の棘のある言葉が虎於に突き刺さる。
「悪い」
「それにしても、そうですね、ここ数日狗丸さん、挙動不審すぎて使い物にならなくて、大変だったんですよね。」
主にフォローに回っていた巳波がここ数日の苦労を思い返し、いつもの柔和な笑顔のまま、不穏な雰囲気が漂ってきた。いや、笑顔のままだが目が笑っていない。
収録番組の歌の歌詞をトチるくらいだからまだ良かったものの、これがもし恋愛バラエティの出演などしていて話でも振られていたら最悪な事態になっていただろう。
「巳波、巳波落ち着け。龍之介、龍之介!」
巳波の笑顔から危険を感じ取った虎於は慌てて大声で龍之介を呼んだ。
「あ、おはようみんな!今日も宜しくね。」
虎於の呼び声に気づいた龍之介はカタンと椅子から立ち上がり、いつもの人好きのする優しい笑顔でŹOOĻのいる楽屋の入り口に歩いてくる。
「あ、つ、十さん。おはようございます!今日は宜しくお願いします!」
推しを目の前にし、一瞬で顔を赤らめもじもじし始めた巳波からは、先ほどの少し物騒な雰囲気はまるで感じられない。龍之介、すごいな。虎於はいつもながら感心している。
「おはよう。今日もいいパフォーマンス、期待してる。」
龍之介の後ろから天が現れた。
『はい!』
いつも冷静に仕事をこなす天を見ると、アイドルという職業に対して身が引き締まる思いになる。
「っていうか、その、ずっと思ってたんですけど、八乙女さんとトウマのこと、九条さん、も、十さんも、何も思わないんですか?、その、オレたちは、あなたたちに、」
言いにくそうに視線を彷徨わせながら、悠が恐る恐る口にすると、
「それでも楽が狗丸トウマが好きって言ってるのにボクらが何か口を出す必要ある?それに楽はボクが何を言っても聞かないと思うよ。」
特に表情を変えることもなく淡々と天は言う。そこにはトウマに対する不快や嫌悪といった感情は感じられない。
戯れ合う楽とトウマをニコニコと嬉しそうに眺めながら龍之介も口を開いた。
「だね。皆は大事なトウマくんが心配かもしれないけど、楽はいい男だよ。絶対にトウマくんを泣かせる様な事はしない。」
もっとも、ここにいる誰もが八乙女楽に対してそんな心配は全くしていないのだが。
「そうだね、それについては保証する。楽は好きな人を傷つける様なことはしない。ボクらの前でも暑苦しいほど惚気てくるしね。それに、」
天は言葉を区切ると、楽の隣でころころと表情を変えるトウマをちらりと見た。
「狗丸トウマは陸があんなに懐いてるんだ。悪いことが起きない様にちゃんと見張っておくから、ね。」
そのなんとも言えない雰囲気に、悠はぞくりと寒気を感じた。
「やだなー天。楽もトウマくんもあんなにかっこよくていい子なんだ。大丈夫だって!」
龍之介のほんわかとした柔和な声と笑顔に緊張した雰囲気が和やかなものになる。
そこへ、コンコン。焦った様なテンポの速いノックの音が鳴る。
「どうぞ」
天が応えると、
「失礼します、うちのŹOOĻがこちらに、って皆さん!!そろそろ準備しないと!」
宇都木が慌てた様に扉から顔を出した。
「あ、すみません宇都木さん。今行きます!」
ほんの挨拶のつもりだったが、思いの外話が長引いてしまった様だ。
「トウマ、行くよ!」
悠がトウマに声をかける。
「あっ、すみません宇都木さん!や、八乙女サン、それじゃ、」
「おう、また後でな!」
ちゅ
「…?…………!!!!!!!!!!」
楽の手がトウマの前髪をさらりとかきあげると、額に楽の唇が触れ、離れていった、と思う。
「好きだぜ、狗丸」
「あ…、わ、」
「ちょっとほらトウマ行くよ!!なにぼーっとしてんの!宇都木さーん!トウマ連れてくの手伝って!!」
一瞬で全身が真っ赤に染まり、額を抑えたまま動かなくなったトウマを悠の腕が引っ張って行く。
「それではTRIGGERの皆さん、お邪魔しました。狗丸さん、あとで膝枕してあげますから!今からお仕事ですよ!!!今日も使い物にならなかったらリーダークビにしますよ!!!」
「はっ、あっ、クビ?!ごめんミナ!!待って!!」
巳波の言葉に我に返ったトウマを引きずる様に悠と巳波が出て行ったのを見送ると、天は口を開いた。
「ねえ楽」
「おう」
「ちゃんと距離感と節度を保って。狗丸トウマのパフォーマンスの精度を下げる行為なんてもっての他だよ。」
天から威圧感が漂ってくる。
ここは楽屋で自分たち以外誰もいない。互いに好き同士なのだからイチャつこうが愛を囁こうがそれはいいも思う。だが、仕事とプライベートは全くの別ものだ。プライベートを優先し、仕事を疎かにするなどあってはいけないのだ、アイドルという仕事は。
「あはは、そうだね、トウマくん真っ赤になっちゃって、すごく恥ずかしがり屋さんなんだなあ。程々にして、あんまり困らせない様にしないとね。」
龍之介ののんびりとした声で張り詰めた空気が和らいだ。
「そうだな、なんか狗丸って毎回かわいい反応してくるし、好きだから触りたい、キスしたいって思っちまう。」
出て行ったメンバーの後を追い、続いて去ろうとしていた虎於が楽の言葉にくるりと振り向いた。
「なあ八乙女、俺はあんたを信頼してるし、トウマもずっと、あんたが思ってるよりもずっと前から心の底ではあんたに惹かれてたんだ。俺はお前たち2人の仲を応援してる。」
思いがけない虎於の言葉に、楽は驚いた。
トウマの仲間にそう言われて、嬉しくない筈がない。
「御堂…ありがとうな」
「いや…だけどあいつは今まで、恋愛なんてする余裕もないくらいアイドルに全力だったんだ。…だから、まだ少し手加減してやってくれないか?」
虎於は楽を見つめながら、言葉を選びそう口にするが、その目は真剣なものだった。
狗丸、メンバーから大事に思われてんだな。そう実感する。
「分かった!狗丸のこと、大切にするから。」
大事にしたいと思っている。それは心からの本心だ。
まっすぐで、不器用で、笑顔が可愛くて、恥ずかしがり屋で、人のいい狗丸を愛おしいと思う。
想いを確かめ合い、漸く心が繋がった今だからこそもっともっと好きだと言葉で、態度で伝えたいが、ゆっくりと、優しい速度で進んで行くのも悪くない。まだ楽とトウマは一緒に手を繋ぎ、歩き出したばかりなのだ。
自分は思ったことはすぐ口に出てしまう。好きだと思ったらすぐに好きだと言葉にしてしまうので、そこは少しだけ早く慣れてくれると嬉しいのだが。
「そうしてやってくれ。それじゃ、失礼したな。」
楽の言葉に安心した様だ。虎於ははにかみそう言うと、早足で楽屋から出て行った。
「楽、」
「ん。分かってる。気をつけるよ。」
その後、スキンシップを我慢する楽に対し、最近八乙女が俺のことあんまし触ってくれないんだけど、もう俺のこと、好きじゃなくなったのかなぁ、と焼き鳥屋で泣きながら告げるトウマにŹOOĻのメンバーが頭を抱えることになるのだった。