『スノーホワイトが迎えにいくから。』おまけ スノーホワイトの手が伸びてくる。私は動けなくて、ギュウと目を閉じるしか、できなかった。彼の温かい手は私の頬にそっと触れ、するすると、優しく撫でる。しばらくすると人が近づいてくる気配がして、唇に、ふわりと優しい感触がした。それは私の口を弄ぶように何度かはむはむと喰み、最後に小さく音を立てて吸って、体にのしかかっていた体温と共に離れた。
「おうじさま」
その声は、私の中で痺れるように甘く響く。
緊張で浅い呼吸を繰り返しながら瞳を開けると、彼が、こちらをじっと見て、世の『お姫様』は絶対にしないような、欲を隠さない顔で、笑った。
「おうじさま、カワイイ」
「ウワー!!」
一織は声を上げて飛び起きた。またこの夢だ。勘弁してくれ。時計を見ると目覚ましが鳴るまであと30分もあった。
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