新しい世界に乾杯 2 水木が目を覚ますと腰の上に誰かが乗っていた。漬物石のように重くずっしりとしていて退かせそうにない。息苦しくてどうにかならないものかと身じろぎをしたら、「ん?」と彼は声を上げてこちらを見た。
空の色は最後に見た時と比べても大して濃度に変化がなく、目をやった腕時計で気絶してからさほど時間が経っていないことがわかった。
体を動かすと殴られたところがズキズキした。二日酔いとは異なる物理的な原因から発生した頭痛にのろのろと額を押さえる。幸い頭部の血管はどこも破裂していないし、潰れずにちゃんと存在してくれていたが、そこには大きな瘤ができていた。これはひどい。
「……無茶しやがって。死んだらどうする」
「安心せい、その場合は地獄まで迎えに行く」
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