ライオスにお近づきになりたいカブルーなみなみとエールの注がれたカップがをずい、と目の前に突き出されて我に返る。
「なあカブルー呑まないのか?」
「まーたその辺の女にでも愛想振り撒いてるんじゃない?」
カップをカブルーへ突き出したまま怪訝そうなミックベルの横で不機嫌そうに髪を払うリンの横顔を見て
「ごめん、ボーッとしてつい癖で人の流れを見てたみたいだ」
慌ててカップを受け取りリンへ微笑み掛ける。
「ちょっと疲れてるのかな…ごめんね」
リンに向かって少し上目遣いに、目を合わせる。
少しも変わらない表情の彼女の中で心臓が少し跳ねたのが手に取るようにわかる。
「ありがとう」
ダメ押しで耳元に囁き、何か言おうとこっちを向いたリンへ向かってにっこり微笑んだ。
彼女はため息をついて無言で手元の飲み物を一気飲みし出す。
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