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    イメージ広げたいのと製作を上手く進められるかなーと
    パウっと花火イラスト描く際に書いたやつ

    メモ代わりみたいなもんですけど
    読みたい方おられましたらどうぞ(といっても拙くて正直恥ずかしい…)
    時間が経ったのでパス解除

    mightyPups shoot off fireworks夜の浜辺。
    そこで多くのものが寝静まり人も子犬も誰1人いないであろう
    それを照らすのは小さく光る星々と三日月のみだけでなく
    1人の子犬が座る目の前に何かが揺らめいては消えていた。


    パウステーションの司令室にて、ズーマとラブルが目を輝かせながらモニター越しに話している。

    「花火見るの楽しみなのだ!」
    「僕もです」
    「私もだ、どんな花火なのだろうな」
    「へへ、とっても大きくてすごいんだって!
    グッドウェイ市長がわざわざ…えーと…」
    「ニホンってとこやで。
    そこでは夏に花火上げんねんって
    新しい年のお祝いとかちゃうのになぁ」
    「いいじゃん!夏はただでさえ楽しいこといっぱいなのに
    もっと楽しいことがあるんだもん!
    この服もかっこいい!」
    「せやな!」

    ズーマとラブルが来ている服は明確にいつものものとは違う。
    彼らからすれば異国の服装。グッドウェイ市長が彼らのために極東の国に発注した子犬用の法被とハチマキ、甚平と呼ばれるもの、スカイ含めた女の子らには可愛らしい浴衣と髪飾りが送られていた。
    彼女はとても気に入ったようでケイティに着せてもらうのを楽しみにしていた。
    2人が彼らに見せつけていると下からその服装を着たケントとチェイスにスカイとロッキーも上がってくる。
    彼らはお互いよく似合っていると褒め合い今晩打ち上げられる花火を心待ちにしている。

    「みんなの分も用意してあるからね。
    今夜遅れないように気をつけて」
    「もちろん」
    「なのだ!」

    興奮と歓喜に包まれながら通信は終わった。

    「あれ?そういえばマーシャルは?」
    「お祭り準備の手伝いや火事が起こらないようにチェックをしてもらっているよ」
    「ふふ、花火は危ないでありますからね」
    「また子豚ちゃんらと入れ替わってへんかったらええんやけどなぁ」

    かつての荷物が入れ替わったトラブルと
    シティでのとんでもなトラブルを思い出し、一同は笑いながらうんうんと頷いている。
    届くものが入れ替わっては混乱を招き
    花火は上に打ち上げるものである。

    「今回はちゃんと届いたんだね!
    でも、手に持つ花火もあるんだ…これは地面に置くんだね」
    「これも取り寄せたのよー」

    祭りの会場となるのは浜辺と市庁舎前の広場だ。
    そこで話すグッドウェイ市長とマーシャルの目の前には色とりどりの手持ち花火と一際大きな
    打ち上げ花火に使うという玉がある。
    それらは引火の可能性がありそうな電子機器や
    屋台用のコンロ、ガソリンなど厳重に火元から離されていた。

    「でもちゃんとお水を用意しなきゃね。
    振り回さないようにって注意もしなきゃ
    蝋燭は植物の近くに置かないように…」

    マーシャルは少しウトウトとしたがすぐにシャキッと姿勢を正す。
    ある程度作業がひと段落したのち、マーシャルがその場を離れると
    自分の町でも花火を上げたいとライバール市長が草葉の影からほくそ笑んでいた。

    案の定、夕方ごろの人気が少なくなった広場でライバール市長はニャンパトロールと共に
    花火を何もかも盗み出そうとする。
    それを祭りが楽しみで仕方がなく早めに会場へ着いたアレックスやダニーが止めに入るが
    争いの最中大きい花火玉がコロコロと広場とはあらぬ方向へ転がっていく。
    そのうちの数個が海に入ってしまった。

    すぐにパウパトロールにレスキューを要請し、マーシャルの法被姿や彼がみんなで遊ぼうと飾り付けで余った風船を楽しんでいた子犬たちはエレベーターへ走っていく。

    「わーっ!」

    マーシャルは風船を掴んでバウンドしエレベーターにつくやいなやパンッと
    大きな音を立てた。

    「燃えない花火はどうかな?」
    「うーんちょい音がでかいなぁ」

    全員が笑い衣装はそのままエレベーターがあがり、いつものように集合する。
    状況は楽しみにしていた面々、特にラブルやズーマにとっては重大なことだった。

    「レックスたちも来るのに…!」
    「なんとかせな!」

    ケントは集めやすいようにラブルと
    海に入った花火玉を回収するためズーマを指名し一行は出動する。

    ラブルは転がっていく玉を回収したが諦めの悪いライバール市長は
    スカイキャットへラブルが集めた花火玉を盗み出すように言うが
    装備のパックから手持ち花火に引火し驚いたスカイキャットは思わず花火玉を落とし
    その導線に引火してしまう。

    ケントは応援を要請し
    マーシャルの手によってシティの如き大惨事が起こる前に導線の火を消したが
    他の花火も巻き添えになってしまう。
    ズーマが回収した花火玉も湿って乾かそうにも取り寄せ品で専門家がいない以上
    再生する術はないも同然だった。

    「…ダメだ…ビショビショだよ…」

    手持ち花火や置き花火がまだ無事ではあるものの
    人が楽しむことが好きなズーマは
    もう向かっているであろうレックスたちが残念がる姿を思い浮かべてしまう。

    「空に上げない花火も地面に置く花火もあるぜ?
    それだけでも楽しんでくれるって」
    「でも…レックスは花火見るの初めてやって…」
    「エラにタックも、エベレストとトラッカーもリバティも楽しみにしてたのに…」
    「うーん…」

    ケントは少し考えた後スカイに連絡を取り、あるものをとってきてもらった。
    ひとっとびしてきたスカイの背にはパウパックがなく、彼女は天女の如く飛翔していた。
    スカイのタグにはマイティパワーを与えるクリスタルが輝いている。
    地に降り立ったスカイはタグのクリスタルをケントに言われるがままマーシャルに手渡した。



    レックスにエラとタック、エベレストやトラッカーとリバティ、他住民たちが続々と集まった夜。
    浜辺に集められた面々は花火を楽しみに待っていた。
    チェイスとラブル、ロッキーも彼らに並んでいる。

    目線の先にはマーシャルがいた。

    彼のパウタグにはクリスタルが引っ付き輝いている。

    ケントには全てお見通しだった。
    マーシャルが夜中にこっそり、自分のマイティパワーを活かせる方法を探して
    思いついたものを実行できるか試行錯誤していたことを。
    そしてそれは思い通りになりそうだということを。

    「…」

    中心にいるマーシャルはケントに声をかけようとしたが飲み込んだ。

    念の為にと同じくクリスタルを装備したズーマがそばに控えるが、力を使うつもりはなかった。
    こういった場で彼は失敗をしないと信じている。

    マーシャルは火の玉を浮かべて空へと上げた。
    それは昇って少しパチパチしたかと思えば夜の闇の中に消え失せる。
    正直な落胆の空気が漂っている。

    「マーシャ…ケント?」

    励まそうとスカイが動こうとしたのをケントが止めた。
    彼女とズーマの目線の先にいるマーシャルは観客の空気には目もくれず
    ただ空を見上げていた。

    夜では暗く黒い空。

    やがて彼の手元に炎が灯った。
    そして深呼吸の後
    炎は打ち上げられる。

    昇る炎の玉をマーシャルは一身に見つめていた。
    人々を恐ろしい炎から守る消防士が
    ただでさえ不器用な自分が火の力など
    専門家とはいえどふさわしくないにも程があると何度思ったことか。
    しかし彼は知ってもいた、そして考えた。
    使い方を間違えなければ炎も良いものになる。
    それで楽しませるにはどうすればいいのか。

    そして炎の玉が登りきったというところで
    マーシャルは光る前足に力を込めた。

    炎の玉は大きく弾け、いつぞやの思い出の中で見た。
    打ち上げ花火と見紛う輝きを見せ、辺りを色とりどりの光で包む。
    各々の瞳が煌びやかに反射し心が踊るとはこのことかと身体は勝手に動く
    マーシャルは次々と炎を空へ打ち上げ大小様々な花火が上がった。

    やがて疲れた彼はロウソクに数本火を灯した後は端の方で座り込む。

    「驚いたわ、まさかファイヤーボールを花火にできるなんて」
    「マーシャルにしかできないことだぜ」

    いつの間にやらチェイスとスカイが彼を労うように挟む。
    彼らの目線の先には花火を目一杯楽しむレックス、リバティは花火が出るたびに花丸満点と叫んでいた。
    これなら暑い夏も悪くないと笑うエベレストに嬉しくなるトラッカーは団扇で彼女を仰ぐ。
    ラブルは屋台のおやつに首っ丈でエラとタックは綿飴を共有して食べている。
    ロッキーは花火の仕組みに興味が湧いているようだった。
    彼らの楽しげな様子を見て満足げなズーマからは「ありがとう」と声をかけられた。

    「良いアイデアだったよマーシャル」

    ケントが後ろから彼を抱き上げて膝に乗せる。
    少しばかり嫉妬したチェイスとスカイだったが今回のヒーローは彼だと身を引いた。

    「ケントはなんでもお見通しだよね」
    「打ち上げ花火の映像を見たいって言った時はただ待ち切れないのかと思ったけど、
    ワクワクしているというよりかは真剣な顔だったからね
    練習は夜中にしかできなかったから大変だったろうけど」
    「頑張ったのねマーシャル。
    でもどうしてファイヤーボールを花火にする練習をしてたの?」
    「……ん」

    花火を盛大にあげるお祭りをしようとグッドウェイ市長から消防士として話を聞いていた時だった。

    「これを作った国ではね、夏の花火はみんな病気にならないようにとか
    天国にいる人たちへの思いやりで上げるんですって。
    私たちはみんな元気に生きてる、楽しんでいるってね。
    素敵だと思ったわ。
    だから私もお祖父様たちに伝わるかわからないけど、やってみたいと思ったのよ」
    「…」

    マーシャルは青い空を見上げた。
    もう直接伝えることはできない人々へ
    見守る人々へできる精一杯の思い。
    今を生きる人々への願い。

    今見上げる空は非常に暗い。
    これでは何も見えないだろう。
    ならば照らしてあげなければ。
    見てくれているというのであればもっともっと見せたいと彼は願った。

    手持ちや地面の花火は間も無く底をつくというところだ。
    マーシャルはケントの膝から降りようとする

    「ちょっと待って」

    そこをケントが止めてチェイスに頼み込む。
    クリスタルをつけた彼は残りをステーションからあっという間に持ってきたようだった。

    「最後にあげるんでしょ?」
    「そうね!沢山あったらきっとすごい花火が見れるかもしれないわ」

    マーシャルのタグにクリスタルが集まっていく。
    不思議とそれは温かいような気がしていた。
    あの時のスカイもこれを感じていたのだろうか。

    全員が集まっている場所で、マーシャルは再度その手に火を灯し
    大きく手を振り空へと上げる。

    精一杯の想いと願いを込めたその火は
    例え目の前が暗闇であろうとも心が暗く澱んでも
    また火を灯して照らすのだと意志を表明するかのように
    大きな音を立てて煌びやかに爆ぜていた。
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