互いに必要な対等なキミ読み違えたか、まさか神モドキとは。
なんてことない相手のつもりできてしまった。
もちろん1000年の中ではこのレベルの相手も下したことはある。
ただこれは…っと、なにか別のルールで動いている…この地域一帯が擬似的な領域なのか…どうも相性が悪いね。
繰り出される攻撃を躱しながら、思考を飛ばす。
命あってのなんとやらだ。撤退も視野にいれる。
いなしながら下がろうとして、足元がぐちゃりと音を立てた。
とっさに向けた視界の中に映るのは元の地面ではなく…
ああしまった。遅かったか。もはや撤退が叶わないことを知る。せめてもとサインを送ったが、この空間から外へ届くのだろうか。
まばたきのうちに、体が泥の中にひきずりこまれる。
体を境界として結界を張る。脳を中心に、生成した血液を回す。
死にはしないが、このままではこの空間からでることもできないだろう。
だがこのまま私が帰らなければ彼が……
彼が?
とっさに飛ばしたサインのむかう先は彼の元だったか。
…ああ、私は彼を当てにしているのか。どこへ行くかも、いつ帰るかも何も言っていないのに。きっと来ると…
私が誰かの助けをただ待つなんて…そして来ると思っている。
…この私がねえ…
ふふ…君ちゃんと、責任を取ってくれよ。
「俺の相方なんだ。返してもらうな」
男が一人。まるでその場に突然現れたかように、気づけばそこにいた。
現れた男は躊躇なく泥の中へ腕を差し入れる。
ゆっくりと、泥の中から、とうに消えたはずの男が掬い上げられる。両手で優しく抱え…と思ったが一瞬。漁船に上げられていた。
逃さないとでも言うように、空間がどろりと歪む
大量じゃーい!!
たった一言。空間が、奪われる。
ソーランッ!!叫びとともに網が引き上げられ
領域は、網の中に。
てれんっ!!大喜利問題!
『夜に船を出した。とれたのは?』
「…アワビを密猟していた…猫!!」
網の中身は猫に、なった。
うわっ!引っかかれた!!アシスタントくん!チュールを集めてくれ!!
いやで〜す
船はいつの間にかオープンカーになっている。もう追いつけやしない。止める方法も、力もない。静かな夜の道。二人と一匹をのせ速度を上げていく。