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    siori_MERUrin

    メル燐文置き場(仮)

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    siori_MERUrin

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    『どうも可笑しな非現実 1』(4月30日(金))
    ちいさいメル燐シリーズの、大きいりんねくんサイドの話。
    (時系列は更新順になっているので、これは大きいひめるサイドの話4の後に起こっている出来事です)

    ##メル燐

     なにやら見覚えのある姿をした、『そいつ』にしては随分とちいさすぎる『なにか』と遭遇した。
     驚いて動きが止まった一瞬の隙に、それはぴゅっと物陰に隠れてしまう。俺っちとしたことが疲れているんだろうかと目頭を押さえて顔を上げると、今度はちょこんとちいさな頭を出してこちらを伺っている様子が目に入った。
     サイズが小さくとも見紛うはずもない、くすんだ水色の髪。ホンモノに比べると顔面に対してやや大きく見えなくもない淡い黄色の瞳に、なぜか『Crazy:B』のユニット衣装まで身につけているそいつを、HiMERUと言わずしてなんと言えば良いのか。
     もうすぐライブ本番だ。
     まさかコレがマジでHiMERUだと思っているわけではないけれど、もしもステージにHiMERUがいなかったら──いやいなかったとしてもこのちいさいのじゃステージに立てないだろうが。落ち着け俺。
     自販機に行ったニキとこはくちゃんはもうすぐ帰ってくるし、「お花を摘みに行ってきます」とか言ってたHiMERUも時期にトイレから戻ってくるだろう。なぜか化粧ポーチを持って行ったのが気になるが、楽屋で俺っちに絡まれながら支度する気分じゃなかったのかもしれない。それにしたって珍しい行動ではあるが……。
     そうこう考えている間に、ガチャリと扉が開く音がする。ちいさいのは青い残像を残して、再び物陰に消えていった。
    「天城?」
    「ヤダ〜ッ! メルメルってばノックもなしに入ってくるなんて! 俺っちが着替え中だったらどうするつもりだったんだよ! 燐音ちゃんの柔肌は安くないんですけど〜!!」
    「──失礼しました」
    「うわ、死んだ魚みたいな目で見られた」
    「HiMERUの瞳はいつも輝いているのです。天城が下らない言動で苛つかせたりしなければね」
    「ヘイヘイ、そいつは失礼しました」
     ポーチを左手に抱えて、右手を添えている姿に少々違和感があった。そんなに丁寧に持っていたことがあっただろうか。メイク道具が入っているだけだろうに、中に壊れやすい貴重品でもあるかのような持ち方だ。
    「なんですか?」
    「いや? ま、ライブ中は鍵がかかるとはいえ、大事なモンが入ってんならちゃ〜んと隠しておいた方がいいと思うぜ」
     HiMERUの横を通り過ぎざまに肩を叩く。こちらに険しい眼差しを向けつつも、大人しくポーチをしまいにいく背中を見て楽屋を出た。部屋の中にはまだあのちいさいのがいるのだろうかと気になったけれど、まさかHiMERUに「中にちいせェメルメルがいるんだけど、見た?」などと言えるわけもない。いよいよアタマがどうかしたのかと思われるのがオチだろう。
     指輪の位置を直しながら歩いていると、ポケットで何かが動いた気がしてピタリと足を止める。
    「……オイオイ」
     マジかよ、と小声で呟いた俺っちに向かってドヤ顔を向けてきたちいさいHiMERUをそっとポケットの奥深くに戻す。ここに入れたままではマズいが、こんなところで放すわけにもいくまい。つーかいつの間にポケットに入ったんだこいつは──指先に巻き付いたちいさい腕の感触になんとも言えない気持ちになりつつ、舞台袖への道を急いだ。
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