ちいさかろうが大きかろうが、燐音くんは燐音くんだ。HiMERUくんもそうだと思う。いやまあ、僕が勝手にそう思ってるだけで、全然違うものなのかもしれないっすけど。
でも、僕から見たらおんなじっていうか……。二人ともちっちゃい自分同士じゃないと仲良くできないのかなって思ったりしてたっていうか?
燐音くんもHiMERUくんも頭が良いのに、自分の立場とか、やりたいこととか、色々考えてて。でも、ときどき考えすぎてるんじゃないかって思うんすよね。自分以外、誰も自分の人生の責任なんて取ってくれないんすから、こうしたいって思うことがあるならやればいいって、僕は思うんすけど。
「なかなかうまくいかないもんなんすかね〜……」
「なんや、ニキはんも悩んでるんか?」
こはくちゃんにオレンジジュースを運んで、そのまま休憩に入ったため息と一緒につい呟きを漏らしてしまうと、グラスに手をかけたこはくちゃんがストローを摘んでこちらを覗き込んできた。
「ん〜。僕は別に悩んでないっす。悩んで無駄に頭を働かせたりなんかしても、お腹が空くだけっすから」
「ニキはんはほんまブレんなぁ」
「なはは〜。僕はお腹いっぱい食べられれば、それ以外のことは割とどうでもいいんで♪」
「コッコッコ♪ そんなこというて、ぬしはんが燐音はんのこと心配してるのはわかってるんやで」
「え〜、それはないっすよ。まあ、燐音くんをっていうより、燐音くんとHiMERUくんがなんか面倒な感じになってるなって思ったりはしてたっすけど」
「それ、心配してたっち言わんの?」
「だって、僕が心配したところでどうにもなんないっしょ」
「心配って、そういうことないやろ」
「っていうか、僕よりこはくちゃんの方が二人を気にしてるんじゃないっすか? 優しいこはくちゃんには僕がまかないで作った大量のプリンをお裾分けしちゃうっすよ〜♪」
「……なんやそのバケツいっぱいのプリンは」
「ニキくん特性バケツプリンっす♪ あ、このバケツはちゃんと消毒してあるし、料理以外には使ったことないやつだから衛生的な問題はないんで安心してね」
「わしが気になるんはそこやないんやけど……」
でも美味しそうやな、と興味津々でバケツを覗き込んでいるこはくちゃんにプリンをよそって、追加のカラメルソースとベリーソースをテーブルに並べた。
ちいさい燐音くんとHiMERUくんにも分けてあげたいなあと思いつつ、小さじ一杯でも十分かもしれないという想像にちょっとだけ微笑ましい気分になった。