往生際悪く「眠くねェ」と呟いている天城の目蓋は閉じたままだった。もうしばらくすれば眠りに落ちてしまうことが予想される男の頬に手を甲を当てると、「ん……」とむずがるような気の抜けた声が聞こえた。ほぐれた体を熱めのタオルで拭っている間に散々聞かされた「あん」だの「やん」だのというわざとらしい声よりよほど煽られる。
目を閉じたままの天城には幸いにして知られずに済みそうでよかった。こちらがまだ熱を湛えたまま、半ば反り返ったままの中央のそれを所在なさげにしているのを見られたら、また起き出そうとするかもしれない。
──別に、性器が勃起すること自体は大した問題ではない。
自分の手でも問題なく処理出来る。
仮に、すぐにでも挿入できそうに準備が出来ている天城の尻がそこにあるからといって、それを借りようなどと考える必要などないのである。
羽織ったガウンで前を隠すと、シーツの上で仰向けになっている無防備な体にガウンをかけて、布団を被せる。きちんと着せるのはこちらの熱が収まるまで待ってもらわなければ。あるいは、HiMERUがシャワー室にいる間に自分で支度をしてしまうかもしれない。今夜については、そうであってくれれば良いと願う。
「……天城」
「……」
返事はない。微かに目蓋を震わせたものの、小さく吐息を漏らしたきりで言葉を発さない様子に胸を撫で下ろすと、前髪を撫でてベッドから離れた。