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    uouosake

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    uouosake

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    おねショタ🟥👀を書きたかったのですが、なんか思った雰囲気にならず挫折。
    せっかく書いたので途中ですが供養。
    小学生の🟥が近所の👀さんの家に泊まりに行く話です。

    その日のことはよく覚えている。
    当時弟を妊娠中だった母が、早産で入院することになったため、俺は近所に住む貞宗さんの家にしばらく預けられることになった。
    貞宗さんは父方の親戚で、一軒家に一人で暮らしていたから、預け先にちょうどよかったのだろう。
    俺よりも二回りほど年上で、ピンと張った背筋に褐色の肌、そしてギョロリとした大きな目が特徴的な人だった。
    正月の集まりではいつもお年玉をくれて、畑で採れた野菜を持っては、よくうちを訪れた。
    会うたびに頭を撫でてくれて「大きくなったなぁ」と快活に笑うこの人に、俺はよく懐いていた。
    両親が共働きだったから、学校帰りはよく貞宗さんの家に行っていた。チャイムを鳴らすと「いらっしゃい」と俺を招き入れ、麦茶を出してくれる。両親が帰ってくるまでの時間は、宿題を見てもらったり、庭の畑を手伝ったりして過ごした。両親の帰りが遅くなる日はそのまま夕飯をご馳走になったし、泊まる日もあった。そんな日は、貞宗さんは決まってカレーを作ってくれた。小学生の俺の舌に合わせた、甘口のカレー。母の作ってくれるカレーも好きだったけれど、貞宗さんのカレーは、たまにしか食べれない特別な味で、俺はこれが一番好きだった。
    大きめに切られたじゃがいもを夢中で頬張る俺に、貞宗さんは「美味しいか?」と目を細めながら聞いてくる。口いっぱいにカレーを詰め込んで、こくりと頷くと、笑い声を上げながら口を拭いてくれた。
    「おかわりは沢山あるからな」
    決まりごとのように、貞宗さんはいつもこう言った。



    母が入院する前日、ちょうど夏休みが始まった日の夜。俺はボストンバック一つを持って、父と二人で貞宗さんの家を訪れた。
    「よく来たな。いらっしゃい」
    いつものように、貞宗さんは大きな手で頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。
    「二階の部屋片付けたから、そこに荷物置いておいで」
    靴を脱ぎ、家に上がり、指示された通り二階へあがる。階段を登ってる途中、後ろで貞宗さんと父が話す声が聞こえた。貞宗さんはしっかりした声で
    「大丈夫。常興のことはこっちに任せい」
    と父に言った。父は少し安堵したように
    「よろしくお願いします」と言ったあと
    「常興、貞宗さんの言うことをちゃんと聞くんだぞ」
    と俺に向かって言った。振り返って
    「うん。貞宗さん、よろしくお願いします」
    階段の途中で、ボストンバックを持ったままお辞儀をした。
    「相変わらずしっかりした親子よのぉ」
    と、貞宗さんが笑った。


    階段を上がって、部屋に入る。畳のい草と木造の家の匂いが、ムワっとした夏の熱気に混ざって鼻を抜けた。綺麗に掃除された部屋には敷布団が一組だけ。俺はその隣にボストンバックを置いて、座り込んだ。下ではまだ父と貞宗さんが話している。二人が話終わるまで部屋で待とうとじっとしていたが、冷房がついていない部屋は蒸し暑く、じわりと汗が吹き出してくる。俺は窓を開けて、バックから水筒をとりだして飲んだ。家を出る前、母が入れてくれた冷たい麦茶が喉を通る。
    「飲み終わったら、貞宗さんの家でちゃんと洗うんだよ」
    そう言って水筒を渡してきた母の姿が脳裏に浮かぶ。大きなお腹を抱えて、辛いだろうに息子にはそんな素振りを一つも見せなかった母を思うと、不安が込み上げてきた。
    母さんは大丈夫なんだろうか。赤ちゃん、弟も無事に生まれてきてくれるだろうか。
    しばらくの間、貞宗さんと暮らせるのは嬉しい。でもそれと同じくらい、母と弟を心配する気持ちも強かった。
    水筒を置いて、ギュッと目を瞑って手を合わせた。
    どうかどうか、母さんと弟が無事でありますように。
    幼いながらに、必死に何かに祈った。特に信仰する宗教もない家だったが、一人残された小学生の自分は、何かに縋らずにはいられなかった。しばらくそうしていただろうか
    「なにをしておるのだ?」
    ハッと顔を上げると目の前に貞宗さんが立っていた。
    「ぬ!?この部屋暑すぎぞ!冷房を入れぬか」
    そう言って壁にかけてあったリモコンをとって、ピッと音を鳴らして冷房をつけた。
    「これですぐ涼しくなるぞ……どうした?常興?」
    そう言って振り返った貞宗さんは、俺の顔を見て心配そうに近づいてきた。
    母と弟のことが心配なあまり、俺は涙を流していた。
    「どうした?お父さんと離れて寂しいか?」
    俺の隣に座って、顔を覗き込んで優しく聞いてくる貞宗さんに、ポロポロと涙を流しながら首を横に振った。
    「かっ母さんと…弟が…心配で……元気に生まれて…きて…くれるかなっ…て…母さんと弟に…っ何かあったらっどうしよっ…てっ…すみませっ…」
    しゃくりを上げながらなんとか絞り出すと、貞宗さんは俺を抱き寄せた
    「そちは本当に優しい子よのぉ」
    片方の手で、貞宗さんが頭を撫でた。いつもみたいに、わしゃわしゃ撫でる手つきではなく、丁寧に、包み込むようにゆっくりと撫でる。
    「心配せずとも、そちが元気にしておれば。お母さんも弟も元気で帰ってくる」
    だから大丈夫。そう言うと貞宗さんはぎゅっと俺を抱きしめた。
    貞宗さんの大丈夫は、魔法の言葉だ。この人がそう言うと、本当に大丈夫な気がしてくる。
    「うん」
    涙を拭って、貞宗さんの背中に手を回した。普段なら恥ずかしくてこんなことできないけれど、今はこの人にうんと甘えたかった。
    背中を優しく撫でてくれる手が心地よくてその日はそのまま、貞宗さんの腕の中で寝てしまった。
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    uouosake

    DOODLEおねショタ🟥👀を書きたかったのですが、なんか思った雰囲気にならず挫折。
    せっかく書いたので途中ですが供養。
    小学生の🟥が近所の👀さんの家に泊まりに行く話です。
    その日のことはよく覚えている。
    当時弟を妊娠中だった母が、早産で入院することになったため、俺は近所に住む貞宗さんの家にしばらく預けられることになった。
    貞宗さんは父方の親戚で、一軒家に一人で暮らしていたから、預け先にちょうどよかったのだろう。
    俺よりも二回りほど年上で、ピンと張った背筋に褐色の肌、そしてギョロリとした大きな目が特徴的な人だった。
    正月の集まりではいつもお年玉をくれて、畑で採れた野菜を持っては、よくうちを訪れた。
    会うたびに頭を撫でてくれて「大きくなったなぁ」と快活に笑うこの人に、俺はよく懐いていた。
    両親が共働きだったから、学校帰りはよく貞宗さんの家に行っていた。チャイムを鳴らすと「いらっしゃい」と俺を招き入れ、麦茶を出してくれる。両親が帰ってくるまでの時間は、宿題を見てもらったり、庭の畑を手伝ったりして過ごした。両親の帰りが遅くなる日はそのまま夕飯をご馳走になったし、泊まる日もあった。そんな日は、貞宗さんは決まってカレーを作ってくれた。小学生の俺の舌に合わせた、甘口のカレー。母の作ってくれるカレーも好きだったけれど、貞宗さんのカレーは、たまにしか食べれない特別な味で、俺はこれが一番好きだった。
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