望む物望む物
カツカツカツと靴の音が廊下に響く。
早歩きのそれは何処と無くイラついているように感じた。
すれ違うものはみんな驚いた顔を浮かべ、そそくさと逃げていく。
そんな周りの事など気にしていられるかと、イザークは目的地まで無言だった。
「⋯⋯入るぞ」
部屋の主の返事を待たずにロックを解除し室内に入る。
「⋯⋯あれ? イザーク?」
きょとんと驚いた顔をした相手に、イザークはぴきりとコメカミに怒りマークが浮かんだ。
「あれ? では無いわ! キラ! お前は何度言えばわかる!」
カツカツと部屋の壁近くに置かれたデスクに向かう。その上には山積みになった書類の山が出来ていた。
本来ならば、またこんなに書類抱えてと思うのだが、そんな事を言ってる場合でもなかった。
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