黄昏、もしくは暁の「デュース、グリム、聞いてよ。オレら付き合い始めたんだ」
初めて聞いた時、お似合いだと思った。指を絡めて繋がれているのは、エースの右手と監督生の左手。監督生は黙ったまま微笑んでいる。僕とグリムはおめでとう、と伝える。二人が顔を見合わせたときのふっと緩んだ空気から、お互いを大切に思っていることが伝わってきた。
エースは完璧な彼氏だった。何かとトラブルに巻き込まれがちな監督生をよく見ていて、面倒ごとは前もって潰したり、万が一巻き込まれてもスマートに解決したり。エースは男子校に特別入学した女子という立場の監督生を有象無象から守り抜いてみせた。
きっと、その役は僕には務まらなかった。
「アイツのわがまま、何でも聞いてやりたいの」
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