野営の夜にぱちり、ぱちり、火が爆ぜる。ゆらゆらと揺蕩う橙色の炎をぼぅ、と眺めては、時たま枝をぼきりと折って火にくべる。
今回は少しばかり遠い所へ赴く依頼だった。馬車で4日。そこから徒歩で約2日ほどの場所が私たちの依頼場所。なんてことはない、どこからともなく現れたらしい魔物の調査と、必要とあらばその魔物たちの退治が依頼内容で、今はその依頼を終えた帰宅道中で野営をしていた。
見張り当番は嫌いじゃない。普段からありとあらゆる喧騒の中に身を置く者として、時々、そう、こうして、静寂が恋しくなる。いつだったか、この話をローレンにすれば無表情ながらにやや小馬鹿にした顔で「顔に似合わない」と言われた。ほっといてほしい。
「……」
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