「朝だぞー起きろー」
大きなシーツの塊をゆする。
ベッドの半分を占領するそれは僅かにもぞもぞ動き、沈黙した。
「ムルソー」
もう一度、やんわりとゆすってみる。
今日は協会の朝練が無いからか、まだ心地いい夢から出たくないらしい。
ふむ。
とはいえ、だ。
もう日も高いし、そろそろ起こしてやらねば彼のためにもならないだろう。
そう思い、ゆさゆさゆすって目覚めを促す。
と、やっとシーツの繭からとても眠そうなハンサムが起き上がって来た。おお、上裸が眩しい。
「はい、おはようさん」
こちらを見ているのか定かでは無い深緑に苦笑しつつ跳ねた髪を撫でつけてやる。画面向こうではあんなにカッコイイ騎士様の、こんな無防備な姿を知っているのはきっと自分だけなのだろう。
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