目もくらむような赤い世界を駆け抜ける。
立ち上る鉄臭は足元に散らかる無数の異端のもの。
己が流し、体に降りかかる隻眼のもの。
確実に急所を狙う一突き。
咄嗟に庇った腕を貫く刀は見事な技術に強引な力を乗せ、肘ごとねじ切ろうとする。
こちらもすぐさま力尽くで腕を引き、鋭利な切れ込みを作りつつ刀の拘束から脱出した。
「っとと」
隻眼は少しだけバランスを崩す素振りを見せる。
が、反撃を許す隙はどこにも無い。
隙が無いからなんだ。
隙を見せるまで切りかかればいい。
腕を相手の首へ。横凪ぎのそれは確実に入ったと思ったのに、なんと一足の内に間合いから逃げられた。
怯まず続いて踏み込み脳天に一刺し。それも刀で横に防がれ、逆にこちらの体勢が乱される。
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