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    syunenmei5

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    syunenmei5

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    剣雲ムグ
    追いかけて、地獄の果てまで。

    薄暗がりにぼうと浮かぶは金色の月環。
    閃光に煙を引きながら激しい火花を散らす。

    やがて決した今夜の勝敗はこちらに軍配が上がった。
    肩で息をしながら喉元に突き付けていた切先をゆっくり下げる。壁を背に動きを止め、その様子を見るあちらも張りつめていた緊張を解き、重い煙を深く吐き出した。

    「あー畜生負けちまった!」

    短くなった煙草を苛立たし気に踏みつぶして喧しく喚く。
    しかしその様は怒りよりもどこか清々しさがあり、地団駄はあくまでていに過ぎないのだろう。

    「酒の飲みすぎだ。今のお前なら私の仲間でも仕留められる」

    何度か掠めた酒気を指摘。
    戦う前くらい控えろと暗に注意する。
    すると、新しい煙草に火をつけた奴が片眉を上げて半目で言い放った。

    「おー何だ? お前さん、俺が自分以外にやられても良いってぇのか?」

    まぁ薄情なこって。
    呆れたと言わんばかりの声音。

    ——聞き逃せない。

    奴の腕を掴み壁へ強く押し付け、暴れないように両手をしっかり縫い留める。

    「なっ」

    完全に不意を突かれ、驚愕に見開かれた瞳をぐっと覗き込み、言う。

    「忘れるな、お前を殺すのは私だ。私以外に殺されるなど許さない。もし、万が一、そのようなことになれば地獄の果てまで貴様を追いかけ、望み通り完膚なきまで殺し尽くしてやろう。……肝に銘じておけ」

    奴の記憶へ刻印するように、確かに宣言する。

    今夜の用は終わりだ。
    瞳から体を離し、衣の裾に風を含みながら奴に背を向ける。

    「はっ」

    その場を後にする背に飛んで来たのは侮りを含む笑い声。

    「そっくりそのまま返してやんよ! お前を殺すのも俺だぜ。覚えておけ」

    死んだら殺す。
    不敵に告げるそれは本心だろう。

    ——なんと熱烈な。

    返事無く、振り返ること無く、笠で顔を隠して闇の中へ。
    珍しく己が笑っていることに驚きつつも、不思議と悪い気はしなかった。
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