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の副組長♀視点
なんて忍耐強い男なのだろう。
こちらが焦れてしまうくらい。
硬く分厚い太ももを拝借して寝転がり、酒に浸ったまま蒼い瞳を見上げる。
橙色が揺れるだけの部屋でその蒼は相変わらず冷え冷えときらめき、この色が時に燃え盛る情熱を宿すさまなど想像しにくい。
目の前の獲物を切り伏さんとする強い意志に輝く光景を。
きっと多くが知らない姿を。
——だから、触れたくなった。
「とーもくさん」
手を伸ばし、目元ではなく頬へ。この古傷にまみれた肌さえも愛しい。
「どうした?」
自ら頬を擦り寄せて聞いてくる男に、特に意味は無いと軽く首を振った。
触りたくなった。それだけだ。
「とーもくさん」
頬の温度を知りたくてもう片方の手も添える。
しっかりと合う互いの視線。
——なんて忍耐強い男なのだろう。
己の膝上にこんなにとろけた無防備な女がいて、まだ何もしてこないなんて。
今日はお前好みの下着にしてやったんだぞ。酒だっていつもの半分くらいでセーブしてあるんだ。
目の前に据え膳があるのに、嗚呼じれったい。
今だって、蒼い視線が唇に向いたのをしっかり見たんだぞ、こっちは。
「とーもくさん……こーこ」
指先で唇を示し、頑固な忍耐に揺さぶりをかける。
欲しいなら、さあおいで。
我慢はいらない。早く早く。
がばりと覆いかぶさって来た男を歓喜で迎える。
口を開けて舌で迎えて、深く激しいキスに応える。
足りない、まだ。
まだ、まだ、もっと。