第ニ章か三章あたり「夢……ね」
飲料水で喉を潤し、ぷはぁっと息を吐いた後、佐々木はそう静かに呟いた。
「はい。私は、確か、に……バンドを、して、いたはずで……」
「……分かってる。無理して言わなくていいって」
途切れ途切れの文章を必死に組み立てて口から出す後藤の背中を、佐々木の手が優しくさする。
「後藤のギターの腕ならバンドやってても驚かないって。ウチが何回も褒めて……あ、記憶無いんだっけか」
「あ、はい」
申し訳なさそうにする後藤。佐々木は人差し指で、陽光を弾く翠色の髪を何度か掻いた。
「今さら頭がおかしくなったとは思わないよ。後藤はウチを驚かせるためにそんな嘘つかない人だって分かってるし」
「……ありがとうございます」
「んまあ、本当はバンドを組んでた……喜多とか先輩たち?に、こういうこと言ってもらいたいんだろうけど……」
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