飲み会「あっ、オクジー! こっちこっち」
俺が手を振ると、通りの向こうにいたオクジーは小走りでこちらにやってきた。
「悪いな、来てもらっちゃって」
「いいよいいよ、どうせ俺もバイト終わりで帰るところだったし。むしろ連絡ありがとう。それで、バデーニさんは?」
「あそこ」
苦笑いで指差した植え込みの近くには、我らがラボのポスドク、バデーニさんがフラッフラの状態でなんとか立っていた。顔は真っ赤で、あからさまな酔っ払いだ。飲み屋の前にたむろしているラボのメンバーは、心配そうにしながらも、やや遠巻きにバデーニさんのことを見つめている。
「うわ、フラフラじゃん。あの人あんまり酒強くないんだから、飲ませすぎないでよ」
「勝手にひとりで飲みまくってたんだよぉ。俺らのせいじゃないって」
1969