星は遥か 眩い光と共に銀色の巨人の姿は消え、一人の男が現れた。宇宙に浮かぶ小惑星のゴツゴツとした表面に立ち、男はズキズキと痛む左腕を見つめる。久しぶりの激しい戦闘だった。あちこちの小さな傷口から青白い結晶体が覗いている。まだほのかに熱を宿した左手には、ボロボロのブレスレットと指輪が光っている――
先程までは本当に光り輝いていた。これらを贈ってくれた、大切な人達を思い浮かべて男は深く息を吐いた。
黒い髪に浅葱色の上下、ツバ付きのキャップ。彼は今、かつての相棒の姿をしている。この姿を好んで取るようになってもうどのくらい経ったのだろうか。弱く小さい人の姿なんて彼には必要無いのだが、どうにもこの姿が落ち着く。あるいはこの顔を、この手を、この身体を忘れたくないのかもしれない。初めて出会った時、初めて触れた相棒の手の形が、今は自分の手になっている。
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