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    enri0326

    @enri0326

    @enri0326のえちorネタバレ系を上げるところ

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    enri0326

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    もんけま
    自作とAIの合作で現代パロでけまが幼くて猫耳尻尾が生えてる上母乳が出るし孕む♡喘ぎでにゃあにゃあ言う系 
    ちゃんと校正してないからよく読むとおかしいかも

    くろねことめ3留三郎くんは雄の黒猫。飼い主であり番の相手、文次郎と子供たちに囲まれ幸せいっぱい。
    けれど、まさかそんな日常が崩れる出来事がおこるなんて………

    「いってくる」
    「「「いってらっしゃ〜い!!!」」」
    文次郎の朝は早い。しゃちくの文次郎はいつも隈だらけの目で会社に行くので留三郎くんはせめて応援しよういつも
    愛妻弁当を用意してお見送りをするのだ。
    今日もお見送りをした後家事をこなしてふうと一息つこう、と思ったら、なんと机の上に文次郎の愛妻弁当があった!
    「文次郎め、持っていくのを忘れたな!」
    留三郎くん、慌てて子供達を抱っこしてお出かけの準備。お弁当を文次郎に届けなくちゃ!

    そうして初めてやってきた文次郎の会社。おっきくてのっぽで強そうだ。留三郎くんは見上げすぎて頭がくらくらしてきた。
    「おかーしゃん…」
    「かーちゃん…」
    怖くなったのか、三木ヱ門と守一郎がぎゅっと留三郎くんにつかまる。いけない!俺が弱気になってどうする!
    「だ、大丈夫だぞ!かーちゃんは強いから何があっても負けないからな!」
    気合を入れてドアをくぐる。文次郎と同じ格好した黒い奴らがあっちこっちにいた。
    (ふ、ふん!俺は文次郎の服の色とお揃いの黒耳と黒しっぽだもんな!羨ましくないぞ!)
    しっぽをブンブン振り回してやると、なんだか周りからくすくすと笑われてる気がした。留三郎くん、ちょっと恥ずかしくなりしゅんとする。
    すぐに文次郎に会えると思ったのに、どうやら部屋がいっぱいあるようだ。留三郎くん、難しい漢字はまだよくわからない。
    「えっと、も…もんじろは…」
    部屋名を見てもちんぷんかんぷん。あたふたしてると誰かから声をかけられた。
    「お客様、どういったご用件でしょうか。誰かお探しですか?」
    ふわふわな髪に柔らかそうな目をした男だ。留三郎くん、ちょっと安心。
    「え、えと、もんじろに会いにきた」
    「もんじろ…?もしかして、潮江文次郎係長のことかな?」
    「!それ!しおえ!俺、お弁当届けに来た!文次郎の番だ!」
    「つ、つがい?」
    留三郎くんうっかり!人間相手には別の言い方をするんだった!
    「えっと、し、しおえの妻の留三郎です。こんにちは」
    ぺこんと頭を下げる。子供達も見習ってぺこちゃんと頭を下げる。なんだか気恥ずかしい。
    「ああ、君が文次郎の…こんにちは。僕は文次郎のお友達の善法寺伊作だよ。よろしくね」
    「いさく!文次郎の友達!?アイツ友達いたのか!あ、こいつら俺と文次郎の子供!ほらご挨拶」
    「こんにちは!!」
    「………にちは」
    元気いっぱいな守一郎と違い、ちょっと恥ずかしがり屋な三木ヱ門。
    「へえ、子供まで。………ふーん、いつのまにやることやってんだか」
    「いさく?」
    「ああごめん、なんでもないよ。えーと文次郎は……あ、ちょうど会議から帰ってきたところだね」
    伊作が指差した方向、確かに文次郎が誰かと歩きながら外から戻ってくるところだ。
    「ほんとだ!おーいもんじ、ろ…」
    そこでふと、留三郎くん気がついた。
    文次郎、誰かと話してる。
    思わず伊作の後ろに隠れる。子供達もよくわからないまま伊作に隠れる。
    「………というわけだ。だからあそこの会社のマーケティングは…」
    「………が、それでは爪が甘いのでは?株価の下回りも想定して…」
    文次郎と話してるのは美しい男だった。長い黒髪、文次郎とお揃いながらパリッとした黒服、しかもなにより…
    「………し、しっぽ………!!」
    長くてふさふさの、美しい毛並みをした尻尾が生えていた…!!
    しかもよく見ると頭にはまた美しい犬耳が生えている!!
    「ああ、仙蔵と一緒か」
    伊作が言う。
    「せ、せんぞ?」
    「うん、文次郎と同期でね、仲良いんだって」
    ががーーーん!留三郎くんショックを受ける。
    「で、で、でも、アイツ、い、犬だ!」
    「へ?ああうん。そうだね?」
    「なんで犬なんかといるんだ!!文次郎は犬嫌いじゃないのか!」
    留三郎くん、犬は大っ嫌い。野良猫時代散々犬にいぢめられたんだ。
    「え?文次郎、昔犬派だって言ってたよ?」
    ががががーーーーん!!!!留三郎くん、二度めのショック。
    (そ、そんな…文次郎、犬派だったのか…!?お、俺に手を出して孕ませておいて、そんなのって、そんなのってない!)
    留三郎くん、ふらふらと風呂敷からお弁当を取り出す。
    「………これ、もんじろに渡しといて………」
    「え、いいけど…会ってかないの?」
    留三郎くん、心配げな伊作を背に子供達ととぼとぼ帰っていった。


    ***


    その日の夜、留三郎くん、ベッドの上でしくしく泣いていた。
    「もんじろ……俺より、いぬの方がいいのか……」
    「何言ってるんだお前は」
    寝ている留三郎くんの横に、いつの間にやら文次郎がいた。
    「もんじろ……」
    昼間のことを問い詰めてみようかと思ったけど、言えない。いい妻はこう言う時うるさくしないってテレビで言ってたんだ。
    「………なんでもない」
    「なんだ変なやつだな。まだ弁当忘れたこと怒ってんのか?悪かったよ」
    「………ちがわい」
    文次郎はちょっと首を傾げた後、ぽんと留三郎くんの頭を撫でてやる。留三郎くん、嬉しさ半分悲しさ半分。
    「今日会社行ったんだって?」
    「うむ……」
    「弁当、ありがとな。美味しかった」
    「う、うむ……」
    文次郎、優しく微笑んで留三郎くんを抱きしめる。
    「……どうしたんだよ。なんかあったか」
    「うぅ〜……」
    留三郎くん、文次郎の腕の中でぎゅっと目をつぶったまま黙り込む。文次郎、困った顔。
    (もんじろ………好き、好き………もんじろが犬派でも、もんじろが浮気しても、もんじろが俺のこと嫌いになっても、もんじろが好きだ………)
    いつの間にか留三郎くんの頭の中では、文次郎があの美しい犬と浮気してることになってた。
    (こうなったら、文次郎に好かれるように、俺もあの犬みたいになってやる!!)
    そうして留三郎のど根性が始まったんだ。

    翌朝、文次郎がいつも通り仕事に行くのを見送ってから、留三郎くんは早速行動を開始した。
    まず文次郎の真似をして黒い服を着る。
    次に髪の毛並みをよくしようとブラッシングする。が…くせ毛の留三郎くんなかなかうまくいかない。それでもなんとかかんとか毛並みを整えたら、今度はしっぽの手入れだ。毛並みを整えるだけでも大変だったのに、しっぽの毛まで整えるのは至難の業だ。
    しかしここでくじけてはいられない。
    「頑張れ俺!負けるな俺!俺は潮江文次郎の妻なんだ!!」
    と気合を入れて、しっぽの毛並みを整え始めた。
    「ふー……やっと終わった……」
    毛並みはなんとか整ったものの、もうお昼すぎだ。
    「……お腹すいた……」
    適当になにか食べようとしたその時、ピンポーンとチャイムが鳴った。
    「……誰だろ……」
    ドアを開けるとそこには伊作が立っていた。
    「やあ留三郎、こんにちは!元気にしてたかい?」
    「伊作!元気だぞ!どうしたんだ?仕事は?」
    「今日は有給とってるんだ。たまたま近くを通り掛かってね、よかったらお土産持ってきたんだけど、入ってもいいかな?」
    「おう!」
    伊作が手に持つ袋には、おいしそうな匂いが漂っていた。伊作はいい奴なんだなあ、と留三郎くんニコニコ。
    「今日は子供たちは?」
    「昨日疲れさせちゃったみたいでな、今ぐっすり寝てる」
    「そっかあ。あれ留三郎、そういえばその服どうしたんだい?毛並みもなんだかツヤツヤして」
    「へへん!すごいだろ、服は文次郎とお揃いだし、毛繕いもちょっと頑張ったんだぞ!」
    「自分でやったんだ!すごいじゃないか!」
    「えへへ、まぁな!」
    伊作が褒めてくれたので留三郎くんご機嫌。
    「でもしっぽの毛が抜けると禿げるって言うよね。大丈夫?」
    「えっ」
    「ほらこのネット記事に書いてあるよ」
    「ええええええっ」
    留三郎くん、思わず尻尾を押さえた。
    「ええっ!俺のしっぽがハゲるのか!?そんなの嫌だ!」
    「えええ……じゃあやめればいいんじゃない?」
    「でも、文次郎があの犬が好きなら、俺もしっぽがふさふさになるくらい努力しないと……!」
    「ええ……?」
    「それに文次郎に嫌われたくないもん!なにがあっても嫌いにならないって約束したけど、やっぱり犬の方がいいって言われたら悲しいじゃんか……だから……」
    「ええ……?」
    伊作は留三郎が何か勘違いをしてることに気がついた。でも…
    (………なんか面白そうだから黙っとこう。僕らに留三郎とのこと秘密にしてた罰だ♪)
    「そっか……でもあんまり無理はしない方がいいと思うけどね……」
    「わかってる。ありがとうな伊作」
    こうして、留三郎くんのど根性は始まった。
    「ただいま」
    「おかえりなさいあなた。ご飯にする?お風呂?それともわ・た・」
    「飯」
    「……」
    「なんだその格好」
    「……」
    「なんでまた黒ずくめのスーツなんか着てんだよ」
    「……」
    「……まさかとは思うが、働きに出るつもりか?そんなの無理に決まって「無理じゃねえもん!」
    文次郎のあんまりな言い草に、留三郎くんつい言い返してしまう。
    「お前は家事だってまともにできねぇだろうが」
    確かに料理はできるようになってきたが、買い物みたいに人間の情勢が関わる物事はまだ苦手だった。
    でも、留三郎くんだって頑張ってるんだ。最近は簡単な漢字も書けるようになってきたんだ。
    「これからできるようになるんだ!文次郎のばか!」
    「亭主に向かって馬鹿とはなんだ!!」
    「文次郎なんてばかで十分だ!俺のしっぽみて何も言うことないのか!」
    「しっぽお?」
    文次郎、しばらく留三郎のしっぽを見てぽつり。
    「……………いつもよりボサボサだな?」
    「ばかぁ!!!」
    留三郎くん、久々に文次郎の顔を引っ掻いた。

    ***


    翌日、文次郎は休日出勤になった。
    文次郎は仕事の間ずっとイライラしてた。
    留三郎くん、文次郎に怒られるんじゃないかと思ってビクビクしてた。
    (ううう〜……文次郎怒ってるかなあ……)
    「ううう〜……文次郎〜」
    仕事から帰ってきた文次郎は、部屋に入るとすぐに留三郎くんの姿を見つけた。
    「なんだ留三郎、いたのか」
    「ふみゃっ」
    「なんだその声は」
    「な、なんでもない……」
    「ん?しっぽどうしたんだ。なんかついてないか」
    「き、気のせいだ!」
    「そうか?まあいいや。腹減った。飯頼む」
    「……わかった」
    文次郎、スーツを脱いでベッドの上に座るとスマホをいじり始めた。
    留三郎くん、ほっとしてキッチンへ向かう。文次郎はそこで何かを見つけた。
    (なんだ?)
    それは髪の毛だった。茶色で、短くて、ちょっとくるんとなってる髪の毛。
    文次郎のものでも、留三郎くんのものでも、子供たちのものでもない。
    (別の人間のもの…?)
    文次郎、なんだか嫌な予感がした。俺以外の人間を連れ込み、ベッドに誘う留三郎くんの姿…
    (留三郎が、浮気?いやいやそんなまさか)
    必死に否定しようと思うが嫌な考えは止まらない。
    そうだ、最近留三郎のしっぽの毛並みがやけに良くないか?今日なんてキラキラ輝いて、もしや香油を塗っているのではないか?
    (まさか、俺以外のやつのために…!?)
    文次郎の脳裏に、せっせとベッドで毛繕いをする留三郎くんの姿が浮かぶ。傍には自分以外の男の姿が…
    「うわああああああ!!!!」
    文次郎、勢いのまま壁に頭をぶつけた。
    (留三郎が浮気してるなんて、そんな…そんなこと…!!)
    「もんじろー?どうしたんだ?壁なんか叩いて」
    「あ、あ、あ、あ、あ」
    「あ?あ?あ?」
    「あほおおお!!!!」
    「!?」
    「なにやってんだお前は!しっぽの毛なんて気にして女々しいんだよ!!」
    「え…」
    「だいたいしっぽの毛なんざどうでもいいんだよ!しっぽの毛より大事なことがあるだろうが!」
    「もん、じ……」
    「俺のこと好きか!?俺が好きならしっぽの毛なんかどうでもいいだろ!?」
    「っ………!!」
    文次郎の強い言葉に、留三郎くん涙がポロリ。
    (お前に嫌われたくないから、好きだから、毛繕い頑張ったのに…なのに…!!)
    「文次郎のばか……ばかぁ……っ!」
    「あっ、おい留三郎!」
    留三郎くん、文次郎の言葉に耐えきれず飛び出してしまった。
    文次郎、慌てて追いかけようとするが……
    「わああああんんん!いたいよー!」
    「とーーーちゃーーーーん!みきがあちゃまごちゅんしたああああ!!!!」
    大泣きする子供たちを放っておくこともできず、戸惑ってるうちに留三郎の姿はどこかへ消えてしまった


    その頃……留三郎は公園にいた。
    (しっぽのことはもういい……でも……)
    文次郎に嫌われたくないから頑張ったのに、結局文次郎は全然褒めてくれなかった。
    (文次郎にとって俺は、あの犬には敵わない存在なのかな……)
    「ふええ……」留三郎、思わず涙ぐむ。
    「あれ、留三郎じゃないか」
    「伊作……」
    そこに通りかかったのは伊作だった。伊作は留三郎の頭を撫でながら言った。
    「どうしたんだい?文次郎と喧嘩でもした?」
    「うん……」
    伊作、ちょっとびっくり。まさかそんな出来事に発展するなんて、面白がった自分をちょっと反省。
    「よし、じゃあ僕の家に来るかい?お腹空いてるだろ?ご飯食べよう」
    「でも、文次郎が……」
    「大丈夫だよ。僕がなんとか説得しておくからさ」
    「本当か?」
    「もちろん。だから行こう?」
    「うん!」
    こうして、伊作の家にお邪魔することになった留三郎くん。
    しかし……
    「遅いぞ、伊作」
    「!!!!お、お前!」
    伊作の部屋には、あの憎きライバル、犬の仙蔵がいたのだ!
    「あれ?なんで仙蔵いるの?」
    「馬鹿者、今日は一緒に鍋を囲おうと前から約束してただろうが。ほら」
    スマホを見せてくる仙蔵に、「ごめんごめん」と謝る伊作。
    「そ、そんな…伊作、うらぎったのか!??」
    「え?なにが?」
    「だって!コイツは文次郎の浮気相手だろ!?」
    「はあ?」
    留三郎くんの言葉に仙蔵、低い声が出る。明らかに怒っていて留三郎くんちょっと怖気付く。
    「文次郎が浮気だと?貴様は一体何を言っているんだ」
    「だ、だって……この前、会社で文次郎と歩いてたし、文次郎は犬派だっていうし、文次郎と同じ服だし…」
    「………あのなあ、私と文次郎が一緒に歩いて同じ服なのは同じ社員なのだから当然だろう。犬派も、昔はそうだったらしいが今は違うと聞いたぞ」
    「…そうなのか?」
    「そうだ。というか、そもそも私は文次郎の愛人ではない。私の伴侶は別の人間だ。それに、文次郎はお前を溺愛しているではないか。浮気などありえん」
    「……ほんとか?俺のこと、嫌いになってない……?」
    「なるわけないだろう。お前の弁当を毎日デレデレで食べてる男だぞ。あんな脂下がった顔で浮気する男がどこにいる」
    「……そうか、よかった……!」
    安心した留三郎くん、またポロポロ涙をこぼす。
    「まったく、泣く奴があるか。ほれ、早く座らんか。料理が冷めるぞ」
    「う、うん……!」
    こうして、留三郎くんと仙蔵は仲良くなった。ちなみに伊作は仙蔵に怒られた。
    「まあ確かに文次郎も薄情なやつだ。こんな可愛い番を迎えた上子どもまでこさえて、その癖私たちには秘密にするなど」
    「でしょう!?そんなに僕らのこと信用ならないのかなー!どーぶつ結婚は確かにまだ偏見が多いけど僕らは気にしてないっての!」
    「まあ落ち着け。それより、お前は文次郎のどこに惹かれたんだ?」
    「そりゃあ、優しいところ!あと真面目だけど意外に子供っぽいところもあるんだ!この間なんてね、俺のしっぽ見て『ボサボサだ』って!ひどいよなー!」
    「「は??」」
    仙蔵と伊作、留三郎くんの言葉に目が光る。なにか悪いこと言っただろうか?
    「…そういえば留三郎、前に会社に来た時戸惑ってたみたいだけど、ああいうところに来るのは初めて?」
    「にゃ?おう、普段買い物以外はあまり外に出るなって文次郎に言われてるから…でも何かあった時のために会社への行き方は教えてもらってたんだ」
    「ふうん?電話で連絡しろとかじゃないんだ?」
    「変なやつからかかってくるといけないから、電話には触るなって。けえたい?も猫が持ったら爆発するから遠ざけてくれてる!」
    「へえ……そうなの?仙蔵」
    「………初耳だな、私は犬だが爆発などしたことないぞ」
    仙蔵も伊作もニコニコ。留三郎くん2人の笑顔でなんだか楽しくなってきた。
    「この前もなー?もんじろのミルクを………」

    ***



    「文次郎!大変だよ!!」
    「どうした伊作!まさか留三郎が怪我をしたのか!?」
    「いや、それが……」
    伊作は慌てていた。留三郎が事故にあったのではないかと思ったのだ。
    「留三郎がさっきうちに来て……」
    「!!留三郎!!」
    「それで……」
    伊作はゆっくり息を吸った。そして……
    「留三郎のしっぽの毛が、すごく綺麗になっていたんだ!!」
    「!!!」
    「しかも香油みたいな匂いもしてきて、まるで女の子みたいに……」
    「まさか、浮気……?」
    「とにかくすぐうちに来て!!!」
    「っおう!わかった!!」

    文次郎、勢いよく伊作の家へ向かった。
    「……ふふふ、文次郎ったら、もうすっかり留三郎に夢中じゃないか」
    「全くだ。あのヘタレめ、留三郎を不安にさせおって」
    「でも文次郎の気持ちもわかるなぁ。僕も猫を飼ったら、絶対浮気しないで家に閉じ込めてずっと可愛がっちゃうと思う」
    「私もだ。だが、それではいけない。アイツらは飼い主とペットじゃない。夫婦なら檻の中に閉じ込めたままではいけないんだ」
    「そうだよね。でも、やっぱりちょっと心配かも」
    「仕方ないな。少しだけ手助けしてやるとするか」
    こうして、仙蔵と伊作は文次郎と留三郎の仲を取り持つことに。
    「……ん?なんか、外が騒がしいな」
    「にゃんだろな?」
    その頃、留三郎はのんびりまったり過ごしていた。
    そこへ……
    ピンポーン
    「にゃ?誰か来たのか?」
    「やあピザかな?留三郎悪いんだけど出てくれない?」
    「…?いいけど」
    留三郎くん、玄関へ向かう。ドアを開けると…
    「留三郎ーーーー!!!!!俺が悪かった!!!!捨てないでくれえええ!!!」
    「ふにゃ!?も、文次郎!!?なんでここに!?子どもたちは!?」
    文次郎が留三郎くんに抱きついてきた!
    「隣の家に預けてきた!!ごめんなあ!本当にごめん!お前のことが嫌いになったわけじゃねえんだよおお!ただ、お前のことが可愛すぎてつい誰にも見せたくなくって…!!」
    「ふみゅ……ふみゅー……」
    文次郎にぎゅっと抱きしめられて、嬉しいような苦しいような、複雑な気分の留三郎くん。
    「文次郎……俺のこと、嫌いになってない?」
    「当たり前だ!大好きだ!愛してる!お前のことしか見てない!」
    「そっか……よかった……!」
    「留三郎……!」
    「文次郎……!」
    2人は見つめ合う。すると……
    「はいそこまでー」
    「にゃにゃ!?」
    「伊作!」
    いつの間にか伊作と仙蔵が来ていた。伊作は留三郎くんを引き剥がす。
    「まったく、文次郎は馬鹿だね。留三郎のこと全然わかってないじゃん」
    「何を言う!俺はちゃんと留三郎のこと考えてだな……!」
    「あーはいはいわかってるよ。だからここまで連れて来たんじゃないか」
    「……どういうことだ?」
    不審がる文次郎に伊作は「ちょっとそこ座んなさい」と言う。
    「いやここ玄関」
    「す、わ、ん、な、さ、い」
    「…はい」
    伊作は怒ると怖いのだ。文次郎は渋々その場に正座する。仙蔵が話す。
    「まず文次郎、お前に聞きたいことがある。留三郎と番になり子までできていたそうだな、おめでとう」
    「ああ…その、どうも」
    気まずそうに文次郎はお礼を言うが、まずったなあという顔だった。
    「悲しいぞ文次郎、私たちは親友だと思っていたのに、こうも頑なに家族の存在を隠されていたなんて。何か理由でもあるのか?」
    「…その」
    「まだ聞きたい、お前は留三郎を囲うようにしてわざと外界と隔離しているな?その理由はなんだ?留三郎が気の毒とは思わないのか?」
    「にゃ?」
    その場に正座する文次郎に釣られて留三郎も正座する。なぜ自分のことについて仙蔵が話してるのかよくわからない。
    「………俺は…」
    「ふにゃー!!!仙蔵!文次郎をいぢめるなー!!」
    「!留…」
    留三郎くん、文次郎を庇うように手を広げる。その姿は実に勇ましい。
    「…文次郎、留三郎はとてもいい子だし、賢くて強い子だ。君が怖がる気持ちよくわかるよ」
    「?こわい?文次郎は何か怖いのか?」
    「………」
    文次郎はゆっくり口を開く。
    「…俺は、怖いんだ。留三郎、お前が俺の元を去っていくのが怖い…」
    「にゃあ?」
    「世界は広くて、俺よりも器量のいい奴は山ほどいる。俺がお前と番いになれたのは、たまたま近くにいたから、それだけだ」
    「…もんじろ…」
    「お前を他の人間に見せるのが怖かった…捨てられるのが怖かったんだ………こんな身勝手な男ですまん……とめさぶ、ろ!」
    頭を下げる文次郎、留三郎くん思わずその頭をガブリと噛み付く!
    「いてええええええ!!!!」
    「もんじろのばか!!俺が、俺がお前の子を孕んだのがたまたまだとお!?ふざけんな!俺はな、その気になればどこへでも行けたんだ!あの窓から飛び降りて、また気ままな野良猫に戻れるのなんていつだってできたんだ!!!
    それを俺が、あえてしなかったんだぞ!?その意味くらい察しろ!ばか!ばかもんじ!!」
    「………留三郎………すまん」
    にゃあにゃあ泣く留三郎くんを文次郎が抱え込む。留三郎くんは文次郎の首に腕を回した。
    「ふにゃ……ふみゅ……文次郎の匂いだあ……落ち着く……好きぃ」
    「っ……!留三郎……!」
    伊作はほっとした。もう大丈夫だろう。
    「じゃあ僕たちはこのへんで許してあげる。留三郎、幸せになるんだよ」
    「にゃー!」
    「ありがとうな伊作、仙蔵」
    「ああ、しっかりしろよ、文次郎」
    「……おう」
    こうして2人は別れた。

    ***
    その夜、文次郎と留三郎くんは一緒に寝ていた。
    「ふみゅ……ふみゅ……」
    「可愛いなあ……」
    留三郎くん、文次郎の布団の上で丸まっている。
    「ふみゅー……」
    「んー……」
    文次郎は留三郎くんの背中に鼻を押し付ける。そしてスンッと匂いを嗅いだ。
    「(ああ、留三郎の匂いだ……)」
    安心する。ずっとこのままでいられたら、どんなに幸せなことだろうか。
    「(だがそれではダメだ。留三郎にはもっと広い世界で自由に生きてほしい……!俺なんかのために、一生を縛られてはいけない……!)留三郎……ごめんな、ごめんなあ……!」
    「にゃあ?」
    文次郎の頬に涙が流れる。留三郎は不思議そうに見ていた。

    ***


    翌日、文次郎は仕事に行く。
    「いってきます」
    「いってらっしゃい」
    「にゃー!とーちゃんいてらさー!」
    「いってらっちゃいましぇ」
    愛する妻、子どもたちに見送られ、
    「ちゅ」
    「んむ」
    行ってきますのちゅーをする。
    「今日は遅くなるかもしれない。夕飯は適当に済ませてくれ」
    「わかった。気をつけて」
    「ああ」
    幸せ絶頂のなか、文次郎は会社へ向かった。
    「さて、どうしようかな……」
    文次郎を見送った後、留三郎は考え込んだ。最近色々あったせいか、少し疲れている。
    「ふみゅー……昼までごろごろするかー」
    留三郎くん、二度寝することにした。
    その頃、文次郎は……
    「おい、文次郎。いい話があるのだが」
    隣の席の仙蔵に話しかけられた。
    「ああ、仙蔵…昨夜はすまん」
    「そんなことはいい、文次郎。お前留三郎と番になったはいいが、きちんとした式は挙げてないのではないか?」
    「へ?し、式?」
    呆気に取られた文次郎に、仙蔵はやはりなとため息をつく。
    「私にいい考えがある」

    つづく…?
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