黒と白の楽園追放 これは、誰も知りえない消された記録。
遠い昔に“原罪人”としての烙印を押され、“楽園”から出て行った、とある少年と少女の序章である。
◆◆◆
世界は、生まれたときから決まっている。
黒いものは”悪”。白いものは”善”。
生まれる前から決まった見た目と価値、生まれた後に決まるモノとしての役割。
それが当たり前で、”この世界”は糞だ。と気が付くのには時間がかかった。
そう。きっかけは、彼女だった。
◆◆◆
「ねえ、あんた、何してるの?」
「……」
「なーにーしーてーるーのっ!」
「……おれ?」
「そうよ」
振り向くと、そこには真っ白な服の少女がいた。
おれと同じ歳か、少し上くらいだろうか。自分の長い前がみで、彼女の姿が見えにくい。
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