うめひい出来て間もない2人
名前を呼ばれるのは心地良い。
商店街の人達からの呼び名も、仲間たちからの呼び名も、名前を呼ばれるという事はその人たちが俺のことを見てくれているということだ。
そして必ず思い出すのは両親の笑顔と俺の名前を呼ぶ2人の声だった。
胸が締め付けられるような苦しさと同時に嬉しさを感じるそれを思い浮かべながら静かな屋上でソファに寝そべり腹の上で手を組み目を閉じて周りの音に耳を澄ませる。
この時間が好きだ。
湿った暑さでじわじわと汗が吹き出してくるのを感じながら、風の音だったり苗が揺れる音を聞いていると落ち着くし、放課後のグラウンドからは賑やかな声が届いてくる。
元気だなぁ、良いことだ、と微笑ましく思っていれば何か忘れてる気がして思い出そうとしたところで屋上の入り口から足音が聞こえてくる。
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