ないしょばなし「ヴァッシュ!」
思わず往来で君の名を大きく呼んでしまったがそんなことはどうでもよかった。
華やぐ赤いコートに輝くはちみつ色の髪、空の色をそのまま映したかのような美しい瞳。6年前に見たあの姿のまま君はそこにいた。
「やぁ!ベン!久しぶりだね」
「6年ぶりだ。会えてうれしいよヴァッシュ!本当に会いたかったんだ…」
俺は迷わず君の手を取った。熱い右手を自分の両の手で包み込んで君の目を見る。君は相変わらず慈悲に満ちた優しい表情をしていて女神のように変わらず存在している奇跡のような人だ。
「キャロルは元気?もう7つになるんだろ?」
「あぁ、もちろん元気だよ。ぜひとも顔を見てってくれ、あの子は君のおかげで元気に育ったんだ!」
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