どの空にだって、 抜けるような青い色。頬を撫でていく風。
そして、暖かい陽の光。
本当に空のようなひとだとチャコは思っていた。
アルペックを見ていると、いつもそう感じる。どこが、というよりも、存在自体が。まるでこの広い空そのものだ。
見上げる空は快晴。旅の途中、小高い丘の上でひと休みしていた。
「あれはウサギやろ〜? あれは〜、うーん……馬! ほんであれが〜……」
空を指差して聞こえる声に自然と唇が弧を描く。浮かんでいる雲の形が何に見えるかを言っているらしい。
子どもの頃にはそんなことを言っていた気がする。成長してからもそんな風に自然に見えているアルは、きっとこの先、大人になっても老人になっても、子どもの時のままの純粋なこころを持っているのだろう。
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