朝白亜紀前期、現ミネソタ。
穏やかな暖かい風が吹く森の入口で座っていた1頭の真っ白な怪鳥は、遠くに地を這う低い鳴き声の数々を捉えた。平たい口の、あの四足歩行の草食み共だ。
悠々と威厳を持って迫り来るその大行列は木陰の明暗で1様に体色をみるみる変え宛ら1つの巨大生物のような存在感で目の前に広がる木々を横断していく。頭上の鳥たちはその背中を借りながら速さを競って素早く巨木の間を滑っていった。風に流される足元の砂土は寝かせた赤いシックルクローを刺激し、狩りを促された身体は激しく血が巡って深紅の目に鋭い光が宿る。
目を細め今日のご馳走を見定める彼の傍に2頭の兄弟が帰ってきた。青く光る目に長い黒羽を飾ったオレンジ色の怪鳥達は、フサフサの尻尾を上に立ててカカカッと軽く鳴き、戦闘の準備が出来た事を伝えながらソワソワしている
1896