「もしかして本歌か?」
懐かしさすら覚える声に振り返る。無垢で離れがたく、しかし確かな強さを併せ持った声。黄金色の髪が陽光に照らされ揺れていて、まるで二人きりの世界だと錯覚するほどだった。
刀剣男士としての己の写し──恐らく極の姿だろう──を見たのは初めてだったが、在りし日の姿が重なって慈しむような感情に満たされていく。
「そうだよ」
肯定に国広は嬉しそうに表情を緩ませ、布を僅かに引っ張りながら「ああ」と呟いた。
「噂程度に聞いていたが、本当に会えるなんてな……」
夢みたいだ、と呟く写しが不覚にも可愛くて、有り体に言えば幼い頃の面影が重なって庇護欲が湧いて。
「俺も会えて嬉しいよ、国広」
目の前にある彼の額に唇を寄せた。
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