永劫の鳥籠「お母様、私はいつまでゴエティアの悪魔として
生きていくのでしょうか」
ある日、母にそう聞いた、なぜ地獄の階層により空の色が違うのか、なぜ地獄はリングの形で7つあるのか。そんな幼い日のささやかな疑問だった。母はそれに優しく答えた。
「あら?アンドレアルフスお前は賢いのに分からなかったの?地獄の終わりまでよ」
母はいつもと変わらない口調だった。その時、私は正式にゴエティアの命を受けた一羽ではなかったが、自らが永劫にゴエティア六十五番目の悪魔であると言う事を察するには十分だった。誰か代わりを作らない限り、私はこの鳥籠から出られない。父がそうして、私が生まれた様に。
その時の母の瞳を覚えている。鮮やかなマゼンダの色に浮かぶ特徴的な白い瞳が、私を捉えることはなかった。
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