青天白日注いでも注いでも、腕に抱く体を蝕む毒がある。どう対処するか、そのためにどれ程魔力を溜めておけばいいのか。思案していたアルジュナ・オルタの唇に痛みが走り、驚いて目を瞬かせると何故かインドラに睨まれていた。
「いつまでしてる!早く抜け、これ……」
「しかし」
「自分で焼く。早くしろ、この体、では、耐えられ、ん」
鼻から垂れた血も、乱れた呼吸も、震えている体も、見るのは初めてだった。力が理由で苦戦した姿なんて見た事無かったのかと、そんな事を思う。アルジュナ・オルタはマスターを呼んで、インドラの体を抑えるようにと指示を出す。青い顔の藤丸は必死な様子でインドラの体を抱きしめていた。
「噛んで。抜きます」
腕を差し出して、果たしてあの小さな口で噛めるだろうかと一瞬思い、ただインドラが遠慮なくがぶりとアルジュナ・オルタの腕に歯を立てたので腹に刺さるそれを掴んだ。
誰の何に手を出したのかと、知性も無い様子だった獣に心を乱される。根絶やしにしなくては、そんな思いで骨を抜いた。直ぐ雷光が散って、インドラの腹の傷は塞がった。
「お、オルタ、大丈夫なの?」
「……明日まではどうかあなた方だけで。拠点に戻りましょう、歩けます、ね?」
抱きかかえて帰ろうとしたのに、腕に噛みついたインドラがそのままに気絶してしまったようで、これはどうやって帰ろうかとしばらく藤丸と途方に暮れていたのだった。