フラシルの勘違いお仕置きセッ未遂後、
次回自分の部屋に来たシルバーに玄関で「ここで抱きしめても?」って聞くフライはいる。
「は?!い、いや、ここでそういうことは…!」
「いや、抱きしめるだけだ。本当に、それ以外しやしない。」って言われて、まあそれだけならって了承するシルバー。
フライに抱きしめられて、いったい何をする気なんだと緊張してるけど、本当に抱きしめるだけだし、
「なんかコイツなりに嫌なことでもあったのか?」
とか思ってちょっと抱きしめ返してみたりして。
「…大丈夫そうだな。」
「は?いや、何がだ?」
「…この前、ここでお前を怖がらせたから。」
まだ怖く思ってしまってやしないかと心配になって。と言われて。
「…そしたら、ここには来ないだろ…」
「…嫌でも来るしか無いと思うぞ。もう俺でしか満足出来ないようにしてしまってるようなものだしな。」
「う……。」
なんとなくそんな気はしていたけど直視を避けていたシルバー。
「…今日は口吸いだけにしよう。それも途中で怖くなれば言え。少しでもだ。…お前が臆病だと言っているんじゃないぞ?精神の傷は予後が悪い、そういう話だ。」
お前を傷つけた責任を取りたいだけなんだと抱きしめて話すフライ。
「…精神の傷の話は、爆弾隊の教課でも聞いた。」
「ああ、覚えてたか」
そう、その話だと頷くフライに「その話には、続きがあったはずだ」と言うシルバー。
「続き…あれか?精神負荷を軽減する為に、出来るだけ早く傷の元となったのと似た環境で再挑戦させて成功体験を積ませる、て話か?」
それだ、と頷くシルバー。
「ふふ、確かに今してることはそれに近いか。」
成功体験、と言うには遠い気もするが、これで軽減されればとは思ったな、とフライが言うと、
「…責任とる、っていうくらいなら、その成功、させろよ…」
顔が見えないほど、ぎゅ、としがみつかれても「成功、なぁ?」
追い詰められたときの逃げ方でも教えるか?と首を傾げることしか出来ないフライ。
「バカ、違うだろ…」それはそれで気になるが…とモゴモゴいうシルバーにじゃあそれはまた今度教えると約束するけど、やっぱり他に成功って呼べる経験になるような案がなくて首を捻る。
「分からん…。すまん、俺はこういう機微は疎くてな…。お前がしたい事が決まっているなら教えてくれないか?」
それが1番、お前にとって怖くないならと言えば、う"ぅ〜…と唸った後で少し体を離して、扉に背を預けるシルバー
「…これでも、分からないか…?」
下からぎゅ、と目を眇めて睨んで来るけれど真っ赤な顔でそれをされても愛玩を誘われているようにしか見えないしな、と思って「分からん…」ていうフライ
「っ〜!じ、じゃあ、これで、分かるだろ…!!」
羞恥でちょっと涙目になりながらフライの片鰭を掴んで、自分の頭の横辺りのドアに押し付けさせるシルバー。
ああ、ちょうどこの前ここでシルバーを追い詰めた時と全く同じ体勢だなと思い出すフライ。
「…この体勢平気か?お前、怖いんじゃないか?」
「…」
黙ってフライのもう片鰭をとるシルバーの鰭はやっぱり少し震えていて。
無理するな、って言おうとしたら「…分かれよ…」って下から睨みながら言われて。
フライの鰭に頬をすり寄せながら、
「…俺に、このまま、この場所でも、この体勢でも、お前は怖くなんかないって」
教えてくれよ。
「…お前、こんなところでするの、嫌だって言ってたじゃないか」
やはり無理をしているのではと気遣うフライに、だから…!と真っ赤な顔でいうシルバー
「…嫌だって、一個も、思えないくらい、甘やかせって、言ってんだよ…!」
分かれよバカ!って言った後慌てて「今日だけだからな!」と付け加える
「ふふ、そうか、名誉挽回、汚名返上のありがたい機会というわけなら、逃すわけにもいかないなぁ?」
「ふん、せいぜい名誉返上汚名挽回にならないよう頑張ってくれ。」
頬に添えさせられた鰭でそのまま顎下をくすぐると怯えとは違う震えを見せるから大丈夫そうだと安心するフライ。
「頑張るのはお前のほうじゃないか?いつも腰砕けになるのに、ここじゃいつまで保つか分からんな?」
「んん…、ふふ、そしたら、またお前に、寝床に、放って貰う、さ。」
アレはなかなか出来ない体験だった、もう一回やりたいくらいだと楽しそうにいうシルバー。
そしたらフライが、まるで睦言でも囁くように耳元で、
「…勘弁してくれ、アレでヒビがいったのを交換してもらったばかりなんだ…」
こんなすぐ壊したら資材部に怒られる、と本当に懇願するような口調で言うから面白くて、ひとしきり笑った後で「お前を怖がるなんてどうかしてたな!」っていうシルバー
俺を怖がらなくなってる時点でどうかしてるんだけど、まぁ、それも合わせて責任取らないとな、ってフライが思って、
この話は終わり。