Trick or Treat!
今日は『ハロウィン』です!
ハロウィンっていうのは、えーと、しゅーかくさい?のいっしゅで、オバケやまじょのカッコしてまちの人たちからお菓子をもらったりするお祭りなんだって。で、お菓子がもらえなかったらイタズラできるみたいなんだけど、わるいことするのはダメだよね。
というわけで、とーさまとボクはまほうつかい、父上はドラキュラの服をきて町へとしゅっぱつした。
Trick or Treat!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!
+ + +
ボクは町やこうえんにあふれかえってたオバケさんやまじょのお姉さん、おぉっきいオオカミ男のお兄さんからいっぱいお菓子をもらった。
カバンにいっぱいのお菓子。かえったら父上ととーさまといっしょに食べよっと。
「父上、とーさま!こんなにお菓子もらいま…」
まわりを見たとき、父上もとーさまもいなくなってた。
「え!?父上!?とーさまーー!!」
ボクは大あわてで父上ととーさまをさがしたけど、どこにも2人のすがたはみえなかった。
…どうしよう、ボクがお菓子にむちゅうで父上ととーさまから目をはなしちゃったせいだ。
2人はきっとオバケに連れてかれちゃったんだ。
「ふぇ……、父上……、とーさまぁ……」
じわりとなみだがこぼれそうになったとき──。
「おやおや、ずいぶんと泣き虫な魔法使いさんだ」
「え……?」
とつぜんきこえた声にかおを上げると、そこには真っ白な服をきたおじいさんがいた。
なんだろう…、なんだかこのおじいさん、ふんいきがとーさまに似てる気がする。
「どうしたんだい?誰かとはぐれたのかな?それとも、オバケに騙されて道に迷ったのかな?」
「えと…、父上ととーさまがオバケに連れていかれたかもしれないんです」
やさしくたずねるおじいさんに、またなみだがポロポロこぼれてくる。
「……そうか」
おじいさんは少し屈んでボクのアタマをなでてくれた。…あれ?なみだ、止まった……。
「君のご両親はあの人達じゃないのかい?」
「え?」
おじいさんが指をさす方向を見てみると、父上ととーさまがあわててコッチに走ってくるのが見えた。
「あ!父上!とーさま!もしかしておじいさんが連れてきてくれたんですか!?」
「いやいや、私は何もしてないよ。ただ聖火が導いてくれただけさ」
おじいさんはそこまで言うと、ボクの顔をジッと見つめてきた。
「おじいさん……?」
「……なぁ坊や。坊やは、ご両親のことが好きかい?」
「はい!だいすきです!」
おじいさんはそれを聞いてニッコリ笑った。
「…では君に一つ頼みがあるんだけど、いいかい?」
「なんですか?」
「君のご両親に……そうだな、『どうか幸せに』って伝えておいてほしいんだ」
「……父上ととーさまに?はい、わかりました」
「では、君に聖火の加護があらんことを」
おじいさんはボクに銀色のリボンで結ばれた小さな箱を手渡した。
「「クリス!!」」
おじいさんにお礼を言おうと思ったら、駆け寄ってきた父上ととーさまに思いきり抱きしめられた。
「クリス、探しましたよ!無事でよかった……!」
「勝手に私達から離れたらダメでしょう?大丈夫ですか?知らない人に声かけられたりしませんでしたか?」
「あ…このおじいさんに、……あれ?」
いつの間にかおじいさんはいなくなってて、まわりを見まわしてもどこにも姿はなかった。いったい、どこにいったんだろう?
そういえば、あのおじいさんどうして父上ととーさまがボクの両親だってわかったんだろう。もしかしたらあのおじいさん、父上ととーさまのおともだちなのかな?かえったらきいてみよっと。
ボクは小箱をカバンにいれて、父上ととーさまと手をつないでおうちにかえった。
ちなみに小箱のなかみはタコさんとネコさんの形のクッキーだった。
END