「ですからクリック君は~、と~っても可愛いんですよー」
「はぁ、そうなんですか……はぁ」
酒が入って少々呂律の回らない口調で上機嫌に惚気ける目の前の男性に、俺はもはや曖昧に頷くことしか出来なかった。
取材のために話を聞きに来ただけなのに。
なんで俺は今こんな酔っぱらいの惚気を延々と聞かされているのだろうか。
そんな俺の胸中など知ったことかとでも言うように、目の前の神官サマはクリック君が可愛いだの、カッコイイだのヘラヘラ笑いながらくっちゃべっている。
「あ、そうそう。この前もですね、知り合いから怪談聞いたんですけど、その日の夜ずっと私をホールドして離してくれなかったんですよ~」
うん知ってる。
だってその話これで5回目だからね?
1918