「これは一体どういうことなんですかねぇ……」
ふと気がつけばフレイムチャーチの巡礼路に立ち尽くしていた。
東の空には朝日が昇って、鳥たちのチチチと鳴く声が聞こえる。
「私の記憶が間違っていなければ……昨夜は確か、自宅に帰って新しく手に入った本を読んでたんですよね……」
懸命に昨晩の記憶を引っ張り出す。
「でも読んでるうちに少し眠気を感じて……」
そこから記憶が無いので、睡魔に負けてそのまま寝落ちしてしまったんだろう。
「え?まさか私、寝ながらここまで歩いてきたんですか?」
まさか30にしてもう徘徊癖がついたのだろうか。……とにかく、ここでボーッとしてても始まらない。とりあえず家に帰らないと。
いつもより道の悪いボコボコした巡礼路を下って、自宅へと急いだ。
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