ー窓の外から微かに鳥の声が聞こえる。
リズナタスは、深い眠りから覚めるような穏やかな心地で目を開け、辺りを見て訝しげに開いたばかりの目を細めた。
知らない部屋だ。
窓はあるが扉はない。
壁には風景画が飾られており、他には見覚えのある人間が目を閉じ眠っている一人掛けの皮張りのソファ、花の飾られている小さな机、ライトスタンドに椅子のないバーカウンターがある。
バーカウンターの向こう側にある棚には幾ばくかの酒瓶が置いてある。
そして、窓のそとから見える外の木々は生い茂り、数十メートル先も見通すことは不可能。…。
一つ一つの品質は悪くないが、どうにもちぐはぐで奇妙な印象を受ける部屋だ。
まるで思い付くままに家具を配置したような気配すらある。
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