太宰の本気の1週間6日目
昨日の出来事から中也と連絡が全く取れなくなった。
何度電話をしても出てもらえず、メールしても返事は来なかった。
「中也……返事欲しい」
私の告白を無かった事になんてしたくない。して欲しくない。中也を諦めるなんて出来ない。私は何とか連絡が取れないか、試してみてもどれも空振りで現状何も出来ない
「やだなぁ……」
仕事中にも関わらず私は中也の事を考えていた。
「私……なんで中也の事を好きになったのかなぁ……」
机に体を倒して私は呟き考える。
好きになった理由。そんなの出会ってから私の世界を色付けた事。私の思い通りにならない中也。けれど2人でやる作戦や悪巧みは息が合い何をしても楽しかった。中也の考えてる事、中也がしたい事、中也の行動なんかは、見れば分かり。声でわかる。そして態度や、接し方なんかでもわかる。中也の事で分からない事はないと言いきれる位には中也を見てたし、中也と接していたと私は思っている。
「どこに惚れた……」
中也の笑った顔が可愛いと思ったのはいつ?
中也が悲しい顔をした時、悲しい思いをした時抱きしめてやりたいと思ったはいつ?
中也が怒り、そしてそれを宥めたり、私も一緒に怒り行動しようと思ったのはいつ?
中也の全てが欲しいと思ったのはいつ?
そんなの出会って中也と過ごしていた日々を考えたら自然とでる。
出会って一目惚れして、接してより好きになった。
中也が私にたまに作ってくれた料理に嬉しくて、そこにまた惚れ直した。
私のわがままを仕方ないと、聞いてくれ、甘やかしてくれる中也に惚れた。
中也の全てが愛おしくて、中也の全てを好きになった。
「再び会っても中也は変わらず……私と接してくれて、私のわがままを聞いてくれた」
お腹すいたと突撃した。お酒飲みたいと思い、先に中也の部屋に行って飲んでた。中也のおつまみが食べたいとわがままを言った。
寝れないと小さくぼやく私を受け入れてくれた。
「それなのに私は何もしてない」
いつも中也が受け入れてくれた。いつも中也がしてくれた。何時だって、何処でだって私が望めば中也はしてくれる、居てくれる。
「私……なにかしたい」
中也になにかしたいと思った。中也の事を考えてたら、中也に会いたくなった。そしてこんな形で終わらせるのが本当に嫌だと思った。
「……私らしく、行かないとね」
私はある決意をして、就業まで過ごし、そして買い物をして中也の家に向かった、ピッキングで家に入り、買ってきた物を広げ私はキッチンに立つ。
「帰って来て、暖かいご飯があるのは嬉しいはずだよね……」
中也程上手くないが私とて料理位できる。中也程美味しく出来ないけれど、それでも私が作った物を中也に食べさせてあげたかった。暖かい部屋に出迎えて貰える嬉しさを知って欲しいと思った、だから私は中也の為に初めて料理をする
「簡単な物しか出来ないけれど、心は込めるから」
マフィアにいた時とは違い、なんでも買える訳では無い、なんなら自殺未遂で財布を流すなんて事もあることから、料理を覚え、そして1人でやっていくのには困らない程度に家事全般もできるはずなのだ
「中也が望むなら、掃除だって、洗濯だって付き合う……」
料理を作りながら中也の事を考え、そして私に出来ることを考えていた。
出来た料理は本当に簡単な物。
豆腐の味噌汁。生姜焼き。サラダ。それにご飯。
本当に簡単な物だけど、心を込めて作った。
「帰って来て……中也」
私は出来た物を皿に盛り、テーブルに並べて中也を待ったけれど、中也は帰って来なかった、いつまでも待つつもりだったけれど、中也の部屋にいると安心してしまい、昨日寝てないのも合って、テーブルに伏せて寝てしまった
家につき、鍵を開けようとしてなんだか嫌な予感がして、ドアノブを回せば開くドア。
「来てんのか……」
玄関に入れば靴があり、それを見て眉間にシワがよる、そして自分も部屋に入り、リビングのドアを開けて声を出す
「何の用だ青鯖!」
そういった俺の声に答えは返って来ず、よく見ればテーブルに伏せて寝ている太宰がいる、そして俺はそのテーブルを見て固まった
「えっ、な、はぁ?」
太宰を起こさないように近ずきよく見れば、テーブルには料理が並べられていた、そしてキッチンに行けば、炊いてあるご飯、鍋にはお味噌が作られていた
「…………」
俺は太宰の元に行き、太宰の頭を撫でる
「作ったのか?俺の為に……」
答えなんてかえってこない、太宰は寝ているのだから、そんな太宰の頭を撫で、俺は心が暖かくなるのがわかる
「太宰が居るだけで、暖かい気持ちになるが、こうやって出迎えられると嬉しいもんなんだな」
いつも俺が帰って作る料理を太宰が笑顔で食べるのを見るだけでも満足だった、けれどこうやって迎えられる事がないから、どう反応して良いか分からない、そして太宰がしてくれた行為が嬉しくて仕方ない
「はぁー、惚れてるんだよな……こいつに」
俺は改めて思い知った、そしてこんな行動をした太宰を愛おしいと思った
「ありがとな……太宰」
ひとしきり頭を撫でた俺は、外套と帽子、手套などをいつもの場所に起き、そして太宰の料理を温め治して食べた
「上手い……上手いよ太宰」
俺は笑っていたと思う。心から嬉しく思ったのだから。
太宰の分は冷蔵庫にしまい、俺は風呂に入り、太宰をどうしようか悩んで起こして見た
「太宰、太宰」
呼びかけて見ても起きない
「太宰、起きろ」
体を揺すりそして声を荒らげて呼べば太宰が身動ぎ、そして少し起きたと思って、声をかける
「太宰、おき」
その続きは言えなかった、太宰に抱きしめられたから
「中也がいる」
「自分家なんだからいるだろ」
「……中也、あの、ね」
「太宰?」
「あれ、ちが、う、」
まだ寝ぼけているのか段々と俺に伸し掛る勢いだった
「だざ、い」
「りょうり、つくった、」
「ちょ、まて、」
「ちゅうや、すき」
「…………」
「すき、ほんとにすき」
「…………」
「うそじゃ、ない」
「……太宰」
「わたしを、すきに、なって」
そう言って太宰はまた寝た、俺は何とか太宰を抱え寝室まで行き、太宰を寝転がし、その隣に寝転ぶ
「……言い訳位聞いてやるか」
笑いながら言った言葉、太宰が必死な俺に伝えようとしたのは分かってるから、メールや電話の量でわかる、それにこの料理と太宰の言葉で俺は許そうと思ったのだから
「明日……なんて言い訳するか見ものだな?」
そう言って寝ようとした時、太宰の腕が伸び俺を抱きしめ腕の中に収め、俺の頭を頬をつけて擦り寄る太宰に俺は笑ってしまった
「ばーか」
そうつぶやき太宰の胸の中で眠った。