3戦目★君じゃなきゃダメなんだ総てのスナフキンの原点である原は云う――あの二人にとって小競り合いとは出会いの挨拶と同義なのだと。
「あ、白髪」
「いって?!」
おはようよりも先に髪の毛を引き抜かれた頭皮から、ブチッと明らかに余計に抜かれた音がした。
「ちょっと!いきなりなんなんだ!ていうか何本抜いた気だい?!」
「悪い、白髪と思って抜いたら思いの他抜けちまった」
「全然悪いと思ってないだろう?!」
本命の白髪一本に対して犠牲になった髪は五本。一本の白い髪と五本の太陽色の髪は安原の指から離れひらひらと風に乗ってどこかへ行った。
「白髪が目立ってたからな……歳か?」
「ちがいますーどこかの誰かさんに突っかかられて心痛が溜まってるんですー」
「ほぉ、そのどこかの誰かさんを待ちぼうけてたのは何処の誰だろうな?」
1826