サァサァと雨の音がかすかに聞こえる中、影山律は手に持ったパンツをまじまじと見た。雨雲に覆われてるとはいえ外は明るく、時々鳥や子供の声も聞こえてきた。
「これ、久しぶりに見た気がします。」
「自分のパンツなんかいつもいちいちじっくり見ないだろ。」
「そうですが、そういう事じゃないです。」
昨日霊幻のアパートに律が泊まりに来た。霊幻が用意した夕飯を食べ、律が先に風呂に入ってる時に霊幻も風呂場に行き……あとは、まぁ、そういう事だ。
一応今日出かける予定はあったのだ。しかし天気予報は夜遅くから次の日夕方まで雨。ふたりとも出かける気が失せていた。だから今回は仕方ない事だったのだ。前回、前々回のお家デートの時も同じ展開だったことは脇に置くとして。
「次来るときパンツの替え持ってくるのやめようかな。」
履かせてもらえないし。無言の続きが聞こえた気がする。思いついた反論はすべてセクハラオヤジギャグだったので霊幻は黙っている事にした。